カタチには意味があり、得たい結果がカタチになる

「壁の一面だけが他の壁と違った色にするおうちとかあるじゃないですか?」
「そういうの今、流行ってるんですよね。 どこのおうちを見てもお風呂とかどこかしらにそんなのを見るんです。」
「流行っているからで、選びたくないんです。」
そうお施主様が仰いました。

その時、すごく嬉しく思いました(笑)。

多くの方はカタチしか見ないので、そこに込められた意味まで知らずに通り過ぎて行ってしまわれます。
もちろん、意味ありきで出来たカタチだけが意味を持つのではなく、カタチありきの中にも潜在化した意味が必ずあります。

ただ、お施主様からそう仰られたのには、すごく嬉しい気持ちが湧いてきました。

全くその通りで、カタチは得たい結果を探した結果の結晶みたいなもので、流行などで決めるものではないとわたしも思います。
そう、嬉しく思ったのは、わたしの気持ちがお施主様も言葉に共鳴したからですね。

デザインは共感だと思います。

この瞬間、方向性を決める上で最も大きなことのひとつである部分に、強い共感が生まれました。

帰ってきたら先ず、ウォーク・イン・クロゼット

帰ってきたら先ずはウォーク・イン・クロゼットで部屋着に着替えるので、玄関の近くにウォーク・イン・クロゼットが欲しいとのことでした。

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写真は SEX AND THE CITY に出てくるウォーク・イン・クロゼットです。
打合せの中で話に出てきました。

ウォーク・イン・クロゼットの配置は、着替えの動線も考慮に入れる必要性はありますが、
(出して)着る ⇒ 脱ぐ ⇒ 洗う ⇒ 干す ⇒ たたむ ⇒ 収納する ⇒ 着る
のサイクルの中での動線も重要であることをお伝えし、その動線がリビングなどを横切ってしまうと生活観がリビングなどに出てしまうというお話しをしました。

また、試着室的なイメージをされていました。

ウォーク・イン・クロゼット内には大きな姿見の鏡があり、バルセロナチェアーのオットマンが置かれていて服を合わせるイメージが、お施主様の中にありました。

イメージの地図

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エクリュの打合せに用いている手法にイメージマップがあります。
イメージマップとは、読んでそのまま、イメージの地図です。

例えば、「シンプルな感じがいい」とお客様が仰るとします。
でも、シンプルの認識は人それぞれで、どんな雰囲気がお客様のシンプルなのか?
そんな風に共通の言葉を作っていくためにイメージマップはかなり役に立ちます。

上の写真はキャメロンディアスが出ていた「ホリディ」で出てくるキャメロンの家です。

お施主様が「家のカタチはちゃんと覚えてないんだけど、なんか恋人を追い出しテラスからモノを捨てるシーンとか、エントランスから階段であがるシーンとかが印象的だった」と仰っていたので、載せました。

イメージマップは先ず、雑誌などから気に入った雰囲気の写真をピックアップするところから始まります。

毎回、どのお客様にもしていただくのですが、今回は驚きました。
と言うのも、どの写真のお部屋も光の入り方から言って窓の位置が北側にあるお部屋だったんです。

絶対この光の感じを再現しなきゃ!
緊張が走りました。

今回の敷地は南西の角地です。
でも、迷わずリビングは北側の窓にしようと決めました。

土地探し

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西谷のType-Bの印象を伺い、建物ご要望を伺いました。
また、土地探しのお話も伺いました。

ずっと景色のいいところを探され、森の中にでも家を建てようかと思われたそうです。
色々探され、九頭竜川が見えるような、そんな土地を探していると今回の土地と出会われました。

その土地は九頭竜川が見えるというわけには行きませんでしたが、仕事場やご実家など色んなことを加味されてこの土地が良いのでは?と言うお話になったそうです。
ただ、最後の一押し、ココの土地でいいと確信できない理由に造成のことがありました。

現状の土地は畑で、道路から地面の高さが下になっています。
それを道路から上にするには、造成費でどれぐらいかかるのか?
また、造成費をかけてしまうと、周辺の住宅地の方が安価に納まるのではないだろうか?
そう考えておられました。

そこで最初に行ったのは造成計画とその費用を出すことから始めました。

家事動線

今回の打合せはキッチンや洗濯などの家事動線のお話をしました。

料理の先生でもある施主様。
キッチンには深い拘りをお持ちで、キッチンの収納などのレイアウトは、以前、何通りもご自分で絵に描いてきていただきました。

今回はパントリーのレイアウトなどをお話させていただきました。

また、洗濯などの動線などについてもお話しました。

最初からちゃんと計画されているので、今回は大丈夫ですが、洗濯家事動線がリビングなどを横切ってしまうと、大抵、リビングに洗濯物が散らばる結果になってしまいます。
テレビを見ながら洗濯物をたたんで、ソファーに置く・・・みたいなことになってしまいます。

最初からそうならないプランでご提案していますが、今回はその再確認を行いました。

着る ⇒ 脱ぐ ⇒ 洗う ⇒ 干す ⇒ たたむ ⇒ 仕舞う ⇒ 着る

このサイクルをどのように行うのか?を図面で確認させていただきました。

出逢い

ある日電話がなりました。
「西谷の兎越峠の抜け道の入り口にある、3軒たった建物を設計された方はそちらにおられますか?」

以前会社勤めをしてた頃にさせていただいた建売のプロジェクトが西谷の3軒の建売だった。
色々あって・・・販売を担当させてもらわずクビになったので、お電話をいただいたお客様とは面識が無かったのだが、お客様が西谷のType-Bの設計をすごく気に入っていただき、お聞きするとずっと設計した人を探され、やっとエクリュを見つけていただいたとのことでした。

本当に嬉しい限りです。
こんなに設計者冥利に尽きることはありません。

また、ご主人は大学の先輩と言うことが後で解り、福井で大学の先輩にお会いできるとは本当に嬉しかったです。

今も先輩(お施主様)とは公私にわたりご相談にのっていただいたり、遊んでいただいたりしています。