カッコイイ

e0147412_15371148「カッケーようにして!」

打合せ中にお施主様に何度も何度も幾度と無く言われました。

「カッコイイ」って何だろう?

実際、お施主様はカッコイイ方です。
背も高いし、男前。
言葉遣いや仕草がスマート。
身の回りに置いてあるのモノは単に収納してあるのではなく飾ってある。
いや、むしろ展示してある。
このことから・・・

・隙のないこと
・すらっとしていること
・見やすいこと(目に留まって心地よいこと)

そう考えました。

e0147412_15523337そこで色々なモノの形状を奥へ伸びていくようにしました。

擬音語で言うと「シュッ」とか「シャー」とかってイメージでしょうか?

そう感じるのは真直ぐ長く伸びていくラインの感じではないかと考えたからです。

縦方向のラインでは無く、横方向に伸びるラインを協調するようにしました。

ひとつは照明計画でそれを表現しました。

またはスリット形状など、カタチでも表現。あとは奥行きを感じられるようにしました。
トイレまでが奥のほうにあります。

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縦の空間 横の空間

縦方向を強調して、幅に圧迫感すら感じさせる階段は、2階にあるLDKの序幕。

縦の空間。

縦の空間・横の空間1

そして続く横の空間。
そのことにより、より広がりを感じる。

縦の空間・横の空間2

家族をつなげる吹き抜け

吹き抜けの役割は、プライベートスペースとファブリックスペースをつなぐ事、直接的ではなく間接的につながっている事で、プライベートを確保しつつ、ファブリックの気配も感じとれる。つまり、プライベートスペースから1歩外へ出ると、家族の気配を感じる事が出来る。逆にファブリックを意識することでプライベートを意識することが出来る。

形状のなかに見る安定感と柔らかさ

柔らかいイメージと安定感を得るために、壁と床及び壁と天井の間に目地(隙間)は設けませんでした(目地があると陰影が出てシープなイメージになります)。

サッシュの取り付く位置、壁を厚く立体的に見えるように等考えながら柔らかいイメージと安定感の共生を図りました。

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装飾の為のスペースは、好きなものを確認するためのスペース

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居間は畳敷きです。
家族が膝を突き合わせているイメージがあって、ソファー(リビング)では無く座卓(居間)としました。

天井の高さを抑えて、家族の一体感を表現しました。
ダイニングとの仕切りの襖を閉めると、こじんまりと落ち着いた和室になります。

床の間はお施主様のご要望でどうしても必要でした。

飾る為のスペースから、四季や移ろいなどを感じていたいとのお施主様からのご要望でした。
飾るスペースは階段上り口にもニッチを設けてあります。

「飾る」という動作は、好きなものを確認する動作に似ています。
家族と好きなものに囲まれての暮らしは、この上ない豊かさかも知れません。

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こじんまりが心地よい

リビング

「リビングは広く!」はよくお聞きするんですが、「広さは丁度いい感じ」とのご要望はとても珍しく感じました。

でも、それってすごく大事というか・・・。
というのも、リビングのご要望で次に出てくるのが「落ち着いた感じ」と言うこと。
「リビングは広く」と「落ち着いた感じ」は、ある意味では相反する部分を秘めています。
色々実現させる方法はあって、それぞれのお施主様のご要望の潜在的な部分を探ればきっと矛盾したご要望もカタチへ落とし込むことは不可能ではないと思います。

「丁度いい感じの広さ」

これは深いですね。
ドキッとします。なぜなら、お施主様のイメージの中に「丁度いい」という定量感があるってことでしょ。

お施主様はこうも表現してくれました。

「からだがすっぽりとおさまる感じ」

何となくイメージが出来ました。
部屋の隅が落ち着いたり、押入れの中が落ち着いたり・・・。
そんなイメージでしょうか?

家族が傍にいる感じ。
壁にもたれかかれる距離。

こんなことを念頭において「こじんまりと居心地がいい」に挑戦しました。

ちょっとした違い

ちょっとした違い床から微妙に浮いて存在する和室の箱。

和室の箱として見えるのは、目地がある為。

目地は水平面と垂直面との間に影をつくり、面が変わるメリハリを与えている。

先日ココで書いた「取り合い」の例でもある。

目地を設けるのは手間がかかる。

手間がかかるわりには見た目に派手ではない。

むしろ気付かれないもの。
気付かれる必要の無いもの。

でも、その気付かないことの積み重ねで、(個人差があるにしても)無意識のうちに違いを受信しているものだ。

ひとつひとつを取り上げると、手間がかかる割には地味なこと。
そんなことを少しずつアイデアと手間とコストと時間をかけて積み重ねる。

地味なことを積み重ねるのには、多くの人の理解と多くの人の技と多くの人の忍耐などが必要だ。
華やかさが無いからねぇ~。
でも、ほとんどのことは地味なことの積み重ねによって生まれてくるんだと思う。
誰にでも解りやす過ぎることは、フェイクが効いていることが多いと感じる。

大切なことは地味なことをコツコツ積み重ねること。
選択を信じ、コツコツみんなでカタチにする。

ちょっとした違いって、そうやってやっと得れるものだといつも感じる。

落ち着くということは・・・

e0147412_1757253「想像力の家」の和室は2畳しかありません。

また、天井の高さや窓の位置や照明計画、壁などの色合いは全て和室内を暗くし、狭く見せるように工夫しました。

「想像力の家」のLDKは吹抜けになっており、その吹抜けから各部屋(居室)へ入るイメージとなっています。
つまり、全ての部屋が吹抜けでつながっています。

それはご家族は一緒に過ごすものとのお施主様の考えからですが、そのためファブリック・スペースが広がりすごく大きな広がりのある空間になりました。

広がりのある空間は爽快感や開放感といった感覚は覚えますが、落ち着きや安心感といった感覚は欠しくなってしまいます。

そこで、ファブリック・スペースの中にまったく逆のスペースを設けました。

この2畳の和室。
妙に安心感があり、落ちるように寝てしまうほどです。

アルコーブ

e0147412_1631091アルコーブとは本来はくぼみを意味し、建築ではマンションの玄関前で、外壁面から少しくぼんだ形になっている空間のことを言います。

写真は和室の入り口の扉です。

くぼみの奥の面は全て和室の扉です。

袖壁も垂壁も一切無い扉だけ。

形状がシンプルに見えて綺麗です。

くぼみの奥はドア。

入ってみたくなりませんか?(笑)

着替えはみんな同じ部屋

このお日さまの家の特長として、家族みんなで使う着替え部屋がある事。実はこの部屋が一番広い。このご家族は何がどれくらい必要なのかを定量化されており、ライフスタイルが明確。
そのため、各部屋が機能的にバランスよく使われている。今回のこの選択のメリットは、収納が分散するとスペースとして生じるロスを省スペース化できる。洗う→干す→たたむ→しまうといった家事動線を短くし、家事労働を軽減できる。
逆に、プライベート性の低下、着替えなどの動線が長くなるといった通常はデメリットとなる要素がデメリットと認識しない点がこのご家族の特長だ。