ちょっとした違い

ちょっとした違い床から微妙に浮いて存在する和室の箱。

和室の箱として見えるのは、目地がある為。

目地は水平面と垂直面との間に影をつくり、面が変わるメリハリを与えている。

先日ココで書いた「取り合い」の例でもある。

目地を設けるのは手間がかかる。

手間がかかるわりには見た目に派手ではない。

むしろ気付かれないもの。
気付かれる必要の無いもの。

でも、その気付かないことの積み重ねで、(個人差があるにしても)無意識のうちに違いを受信しているものだ。

ひとつひとつを取り上げると、手間がかかる割には地味なこと。
そんなことを少しずつアイデアと手間とコストと時間をかけて積み重ねる。

地味なことを積み重ねるのには、多くの人の理解と多くの人の技と多くの人の忍耐などが必要だ。
華やかさが無いからねぇ~。
でも、ほとんどのことは地味なことの積み重ねによって生まれてくるんだと思う。
誰にでも解りやす過ぎることは、フェイクが効いていることが多いと感じる。

大切なことは地味なことをコツコツ積み重ねること。
選択を信じ、コツコツみんなでカタチにする。

ちょっとした違いって、そうやってやっと得れるものだといつも感じる。

落ち着くということは・・・

e0147412_1757253「想像力の家」の和室は2畳しかありません。

また、天井の高さや窓の位置や照明計画、壁などの色合いは全て和室内を暗くし、狭く見せるように工夫しました。

「想像力の家」のLDKは吹抜けになっており、その吹抜けから各部屋(居室)へ入るイメージとなっています。
つまり、全ての部屋が吹抜けでつながっています。

それはご家族は一緒に過ごすものとのお施主様の考えからですが、そのためファブリック・スペースが広がりすごく大きな広がりのある空間になりました。

広がりのある空間は爽快感や開放感といった感覚は覚えますが、落ち着きや安心感といった感覚は欠しくなってしまいます。

そこで、ファブリック・スペースの中にまったく逆のスペースを設けました。

この2畳の和室。
妙に安心感があり、落ちるように寝てしまうほどです。

アルコーブ

e0147412_1631091アルコーブとは本来はくぼみを意味し、建築ではマンションの玄関前で、外壁面から少しくぼんだ形になっている空間のことを言います。

写真は和室の入り口の扉です。

くぼみの奥の面は全て和室の扉です。

袖壁も垂壁も一切無い扉だけ。

形状がシンプルに見えて綺麗です。

くぼみの奥はドア。

入ってみたくなりませんか?(笑)

着替えはみんな同じ部屋

このお日さまの家の特長として、家族みんなで使う着替え部屋がある事。実はこの部屋が一番広い。このご家族は何がどれくらい必要なのかを定量化されており、ライフスタイルが明確。
そのため、各部屋が機能的にバランスよく使われている。今回のこの選択のメリットは、収納が分散するとスペースとして生じるロスを省スペース化できる。洗う→干す→たたむ→しまうといった家事動線を短くし、家事労働を軽減できる。
逆に、プライベート性の低下、着替えなどの動線が長くなるといった通常はデメリットとなる要素がデメリットと認識しない点がこのご家族の特長だ。

穏やかな光のなかで

リビング・ダイニングに面したこの家の一番大きな開口部分は、東側にあります。朝日がおはようって室内に陽の光が差し込み、昼過ぎには直射ではない穏やかな光がウッドデッキに反射して入り込みます。

ゆっくりだけど柔らかい光が、家族が健康で仲良く暮らせることへの変わらない日常をあたたかく見守ってくれているようです。

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そして照明計画も同じく、間接照明を中心とした柔らかい感じにしました。

リビングダイニングには、4つのシーンがメモリー出来るコントロールスイッチを採用しました。
全灯・リビング・ダイニング・リラックスモードにしたり、常夜灯モードにしたり、映画館モードにしたり、家族の生活スタイルに合わせて切替可能です。 配灯に変化があると、シーン作りに一役かってくれます。

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「取り合い」

取り合い「取り合い」

建築でよく使う言葉。

垂直面と水平面との取り合い。
外部と内部の取り合い。

取り合いを大切にする。
関係を大切にする。

すると美しくなる。

つくり手の丁寧な仕事。

単にカタチではなく、気持ちや技や想いや、見えないものの積み重ねが、「美」なんだと思う

スタディーコーナーも家族全員分

e0147412_20471294スタディーコーナは家族4人が並んでも充分なスペースを確保しました。

家族が一緒に学べるスペースが欲しいとのご要望からです。
いずれお子さんが学校へ行かれて宿題が出たりすると、ご主人が勉強を教えられたりするのでしょうか?

家相は規律?

e0147412_18113250「想像力の家」も家相は重要なファクターでした。

間取りなどはお施主様とエクリュとで、お寺へ行って打合せをしたこともありました。

その中で不思議な出来事がありました。

「想像力の家」の敷地は角地で2面道路が接しています。

「想像力の家」が建つ一団の土地は袋小路となる道路に沿って出来ています。

他の土地の方々はその袋小路となる道路しか接道がないため、みんな駐車場や玄関の位置がその道路に向かっていますが、当初の計画では「想像力の家」のみ袋小路ではない方の道路に接して駐車場や玄関を設けていました。

それは袋小路の道路が北面にありますが、せっかくの角地なので南面の空地(庭)を開けるために東入りの駐車場や玄関としました。

しかし、家相を見ていただいたときに、建物は問題はなかったのですが、敷地の最終枡(排水枡)の位置が、当初計画の位置で建てるとどうしても鬼門にかかってしまいました。
最終枡の位置を変えるには費用もかかり、予算でみていなかったため仕方なく棟配置をもっと南へ寄せることで最終枡を鬼門から外すようにしました。

すると、、、

なんてことでしょう。
「想像力の家」だけ、周辺のお家と違ったゾーニングだったのですが、隣など廻りの建物の並びが同じ位置(ゾーニング)になりました。

まるで自分達だけはみ出すな!と言われたようでした。

廊下に落ちる自然光

廊下に落ちる自然光立地条件上、どうしても奥行きが長い、いわゆる「うなぎの寝床」に棟配置がなり、奥に深い廊下となりました。

部屋などに窓を設けたいのでどうしても廊下は建物の中心に配置されます。
そうすると暗く長い廊下が出来てしまいます。

しかも今回はデザイン上ファサードに窓を設けることが出来ない。
廊下が暗くなることは避けられなかったのですが、ちょっとだけ工夫しました。

廊下の中ほどにある階段室から廊下まで光が落ちるように大きな窓を設けました。
また、玄関はファサード側では内面に勝手口を設け、その扉をガラス張りにし光が差し込むように工夫しました。
これらにより真っ暗な玄関や廊下になることは避けることが出来ました。

俺にも衣装

e0147412_16152318服もこだわりをお持ちのお施主様。
そして収納の仕方がとても重要なお施主様だとも認識していました。

収納は展示に近いイメージがあるのだと思います。

もちろん衣裳部屋(ウォーク・イン・クロゼット)を他人に見せるわけではありません。
ただ、持っているモノはこだわって選択されたモノ。
それら好きなモノへの敬意と言いましょうか?

好きなモノに囲まれている幸せな感じが「奥のある家」のお施主様にはとても大切なんだと思いました。