「穏景の家」という名前になった由来でもありますが、お施主様からのご要望は「視覚的」なものが多く目立ちました。
例えば、、、
リビングでは、ソファーに座って菜園を眺められるようにしたい。
外を眺められる場所が欲しい。
お風呂は非日常的な空間とし、坪庭などを眺められるようにしたい。
外観(ファサード)は一般的ではなく、でもシンプルな外観がいい。
などです。
何が見えるか?
どう見えるか?
いつ見えるか?
どんな時に見えるか?
など、視覚的なご要望やイメージをたくさんお持ちだったように感じます。
『北の眺望、南の日照』と言う言葉はご存知ですか?
建物を計画する上で基本的な考え方ですが、日照条件に適しているのは南側の窓で、眺望など景色を取り込むなら北側に窓を設けるのがセオリーです。
「穏景の家」が北側にルーフ・テラスがあるのは、「外を眺められる場所が欲しい。」とお施主様からのご要望をいただき、また、お施主様のNEEDSのウェイトがとても重かった(重要だった)為です。
北側のルーフ・テラスが2階の床高さから、400(40cm)上がっているのは、出来るだけ遠くを見渡せる為でもありますが、もっと大切な要因があります。
それはファサード(外観)です。
ポーチ部分を母屋から別の立体とし、色やテクスチャー(表面の質感)やマテリアル(素材)などを分ける建物は結構目にする機会があります。
お施主様からのご要望に「外観(ファサード)は一般的ではなく、でもシンプルな外観がいい。」というものがありました。
単にポーチ部分と母屋部分を色分けなどをするだけでは、シンプルな形状を選択すればするほど一般的と映りがちです。
そこで、立体のボリュームのバランスを検討しました。
ポーチと母屋の立体のバランスは、一般的なNEEDSになればなるほど、比率も平均化していきます。
きっと平均的な比率に近づけば近づくほど「見たことがある」と認識されることになります。
「穏景の家」のお施主様には、「和」のエッセンスをアプローチ部分で表現すると言うものがありました。
例えば当初アプローチ部分には茶室の待合のようなものなどをイメージされていました。
お家への導入の仕方が「穏景の家」ではとても大切なファクターだったからです。
このことを先ほどのファサード(外観)のご要望と足して実現し、一石二鳥にならないか?と考えました。
ポーチ部分に新たな要因(ご要望)をプラスしていくことで、一般的ではないNEEDSなど(ボリューム)のバランスになることを考えました。
ポーチ部分にプラスした要因は以下です。
・ 外を眺める場所が欲しい
・ 建物への導入に演出が欲しい
これらを両立させることで、ポーチ部分立体を色分けし、形状をシンプルにしながらも、一般的とは感じないファサードを実現しました。