広がりを生むモノを出来るだけ。

(仮称)若杉の家の面積の圧縮はLD(リビング・ダイニング)にまでおよびました。

しかし、LDはゆったりと落ち着いた雰囲気にしたいというのが、家族の希望でもありました。
そこで、面積は圧縮しながらも、(出来るだけコストをかけないで)視覚的・感覚的に広がりを感じられるように検討しました。

先ず、今まで弊社で建てていただいたオナー様たちの多くの方がされてきた、内外のつながりを強調することで、広がりを演出する方法をとりました。

軒・袖壁を設け、レベルや面、色や素材を合せることでつながりを強調。
また、外部空間もLDの延長と意識させる為の壁を設けました。
さらに、その壁の向こう側にある空間を予期させ想像させるため、その壁にアーチの抜けをつくりました。

光(自然光・ライティング)の利用による広がりの感覚も利用しました。

LDは落ち着いた雰囲気が家族の好みだったので、直射日光が降り注ぐLDではなく、木陰でくつろぐ感じのように直射の入りにくい空間にしました。
しかし明るく感じられるように日光を反射させる反射壁を設け、LDにやわらかい天空光によって明るく感じられるように工夫しました。
そのことも功を奏し、外部にある反射壁までがLD一体の空間を認識されます。

その反射壁の足元にイスなど家具を置くことで、よりリビングの延長であるイメージが強調され、広がりの演出になります。

夜もその効果をねらうために、イスを置く場所の上部にスポットライトを設けました。

目線を止めない工夫を施し、また目線を止め、エリアを認識させ、最後にその先を予測させることで、楽しい広がりを演出しました。

ガラス1枚に関わった方々と。

ファサードから始まった、(仮称)若杉の家ですが、そのファサードで最も重要なファクターが大きなFIX窓でした。

「コストはかかるだろうなぁ~」とは思っていましたが、それ以外に製作することがかなり大変でした。
ビルなどでもっと大きなガラスを見たりするので、きっと出来るだろうと思っていましたが、それがそうでもなく・・・
ガラスを吊り下げ支持にすると(大きなガラスは自重に耐えられないで割れてしまうので、吊るして支持します)、とんでもなくコストがかかったり、納まりが難しかったりと実現がかなり難しいことが解ってきて、他の方法を模索したりと、費用や施工方法などの検討に多くの方々のご協力と多くの時間を費やしました。
ステンレスのサッシで検討したこともありました。

そうそう!

一般的にガラスとサッシは別々につくられたり、別々のメーカーさんだったりするので、サッシはOKでもガラスがNGだったりなど、それぞれの事情などがある為すり合わせが必要で、それも時間がかかってしまった要因のひとつです。

しかし、その辺もメーカーさんや流通さんをはじめ、多くの方のご協力を得、理想を現実に近付けていきました。

最終的には自重に耐えれるペアガラスの製作限界めいっぱいのガラスサイズが決め手で大きさが決まりました。

当初、イメージしていたガラスより小さくはなりましたが、逆に決まった大きさをもとにファサードを整えたり、機能を付加したりして、当初よりいい感じになったんじゃないかと思っています。
それもこれも協力会社さんのおかげと本当に感謝しています。

こんな風に、信頼に一生懸命応えようとしてくれる方々のおかげで、カタチが出来ていきました。
住まいづくりがこんなに幸せな体験だと・・・想像以上に幸せな体験でした。
住まいづくりの関わる多くの方々の顔が見えるところにいるからそう強く感じられたのかなぁ~。
何でもきっとそうなんですが、お住まいも例外でなく、信頼関係によって成り立ちます。
僕の好きな言葉に「無信不立」という言葉があります。
今回、自分の住まいづくりを体感して、より深くその言葉を実感しました。
また、家族やスタッフ、協力会社さん、住まいづくりに参加していただいた方々とのグルーヴ(うねり)のような感覚も覚えて、エキサイティングな体験でした!(笑)

自分達を知る。

(仮称)若杉の家を設計するにあたり、(いや、全てのお住まいがそうですが・・・)最も大切なことのひとつが、「自分達を知る」と言うことです。

でもこれが以外に難しいんですねぇ~。

先ず僕は、今住んでいる住まいの写真をたくさん撮りました。
そして客観的に自分達の暮らしを見られるようにしました。
その写真をここでご紹介できればよかったのですが・・・。
あまりにお恥ずかしく、伏せておくことにしましょう(笑)。

現実を知った時から、本来の自分達らしい住まいづくりがスタートするのだと思います。

あらゆるものが有限です。
だからこそ、自分達のこと(性格や性質だけではなく、経済力や社会的評価、仲間や協力体制などなどを含む)をよく把握し、バランスにより最大限の能力を引出すことが重要になります。

僕の場合、協力体制に関しては、お客様よりリアルに把握していたり、信頼関係が強固だったりする分、判断や理解のスピードが速く、そのことは大いに助かったかも知れません。
協力体制を当然に信じていますから、怖くないと言うか、迷いがないと言うか。
やはり知っていくことに多くの労力を費やしますから、そこら辺はスピーディーだったと思います。

自分達のことをよく知った上で、これだけは繰り返さない方法を見つけ出さないと!と強く思ったこと。
それは「床に物を置く文化」です。
床に物を置くと、散らかったように目に映るだけでなく、掃除がしにくくなり、部屋の環境を悪くするスパイラルに落ちていきます。
そこで、床に置いている物をリストアップ。
それらをできるだけ無理なくちゃんと収納する方法を検討しました。
予算にも限りがあるので・・・完璧とはいきませんが・・・
そこは暮らしの中では、総合力で何とかクリアしていきたいと考えています。
「設備」と「家族の自覚・意思」その両面がなければいずれにしても良い住環境の維持は成り立ちません。
どちらも限界がありますが、自分達を知ることでどのバランスが一番自分達にとって無理が無いのかが観えてきます。

自分達らしい住まいを創造する時に、そのことがとても重要だと僕は思います。

和室の天井高さ

今日は(仮称)灯明寺の家のお客様と和室の天井高さの体感に、「静と動の家」へ伺いました。

和室は床座なので、天井高さが高すぎると不安定な空間になる場合もあり、また逆に天井高さを下げると安定感が出たりもします。
静と動の家」の和室は畳の部分の天井高さを2M程度まで下げています(平均天井高さ2.1M)。
その感覚を体感していただきました。
その経験をもとに、(仮称)灯明寺の家の床に座って落ち着く雰囲気を模索していきます。

単に圧縮するんじゃなくて(子供部屋など)。

Type-02からType-15まで、ファサードがほとんど変更無いながらもそれだけも間取りを変更したのには、面積を圧縮しなくてはならなかったからです。
理想で楽しく図面を描いていると、金額がドンドン増えちゃって・・・(苦笑)。

僕が住宅を建てようと思ったきっかけのひとつは、「上質な環境(良い空間)」の中、自分や子供達や家族に身を置いてもらいたいとのことがありました。

「住まい」は毎日の「食事」と同じだと思います。

僕達の身体は、間違いなく昨日食べたもので出来ています。
良いモノを食べると、健康的な良い身体となります。
それと同じように、良い空間に身を置くと、良いセンスや良い精神状態など自分自身の内面に大きく影響します。

ですので、面積などがドンドン圧縮される中、どうしても実現したかったのは内面に良い影響を与えるような「良い空間」をつくることです。

では、僕達家族にとっての良い空間とは?

そのひとつのキーワードが「遊び心」でした。
長男や次男にどんな部屋が欲しいかを聞くと、忍者屋敷みたいな空間だったり、アスレチックみたいな部屋ばかり(笑)。
そんな遊び心をくすぐるような空間を検討しました。

面積を圧縮しなきゃいけないので、こじんまりとして楽しく落ち着く空間を考えました。
そのヒントはドラえもんのベッドにありました。
「押入れに住む」。

次男は小さい頃怒られると押入れでふて寝したりすることもありました(笑)。
http://ecruarc.exblog.jp/11865998/← 参照

そこで、上にあるスケッチのような提案を子供達にしたところ、大喜び!(笑)

「もうひとつお願いがあるんだけど・・・二人で一部屋でもいいかな?」
と子供達(長男と次男)にお願い。
OKをいただきました(笑)。

実は我が家・・・ひとりあたり3帖程度しかありません。
だからこそ、こじんまりと落ち着く環境、遊び心をくすぐる環境を検討しました。
3帖を逆手にとって、オリジナリティーがある空間に仕上がったんじゃないかと思います。


▲ 長男と次男の部屋

長女の部屋はベッドにベールがかかっているような、お姫様のような部屋にしたかったんですが、これも3帖程度しかないので、大きなベッドなど入るわけも無く・・・。
でも、ベールのかかったベッドの発想をもとに3帖にまとめてみました。

長女は今まで自分の部屋がなかったので、3帖でも大満足(笑)。


▲ 長女の部屋イメージ写真

そもそも僕達家族は、今まで居間(リビング)でみんな一緒にいたので、個室は最低限度の広さにしました。
収納も一箇所にまとめてしまって有効利用したりと、各所で圧縮を図りました。

ファサードからはじめました。

内覧会まで1ヶ月をきったので・・・
(仮称)若杉の家がどんな風に出来てきたのかを綴ろうと思います。
時間を見つけて、出来るだけ毎日更新しようと思っています(笑)。

では、今日のテーマ。
ファサードです。

(仮称)若杉の家はファサード(外観)から決めました。
プランニングは15プラン描きましたが、Type-02からほとんどファサードが変わっていないのは、ファサードありきでプランを進めたからです。

ファサードの特徴としては、当初から3つのこと思っていました。
一つ目は、建物の中に建築物があるようなイメージにしたいということ。
二つ目は、ファサードに大きな窓を設けること。
三つ目は、その窓に(外から見える)シャンデリアを吊るすことです。

スケッチは概念図です。
このように最初から外から見た感じを意識しました。

建築の質の5つ軸のひとつに【社会性】があります。

街並みに変化を生む建物は、場合によっては近隣の方々に結構好印象を与えることが、今までのお手伝いさせていただいたお住まいで感じてきました。
今回も足場のシートが取れたら、(元々地元という事もありますが・・・)近所の方々や学校の先生までに「いつ完成するの?」とか「遊びに行くね!」とか楽しみにしていただいている声をかけていただきます。
とてもありがたいことです(笑)。

ファサードを考えることは、芸術性のみならず社会性にも大きな影響があります。

そうそう!
岡村靖幸さんの「イケナイコトカイ」を聞いた時(高校生?)からずっと思ってたこと。
♪ 寝れない夜は 屋上にのぼって 壁にもたれてるんだ ♪
って歌詞から、家を建てるなら屋上をつくろう!って思っていましたが、費用対効果的にNeedsではないと判断しました。

屋根にのぼろうと思えば、のぼれますしね!(笑)

でも、ルーフテラスには、壁があります。
この壁は空間のアイテムとしてかなり利いてます。