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外を眺める

この日は「静と動の家」の内覧会。
内覧会会場で、「穏景の家」のお施主様と打合せをいたしました。
この日、決まった内容にこんなのがあります。

Type-27からの変更について
・ 2階 北側ルーフテラス
  外観上(ファサード)や視覚の変化などの理由から、
  北側ルーフテラスの床レベルを2FLより400mm
  程度上げる。

この決定内容は、「穏景の家」を象徴するような決定内容です。
というのも、2つの目線が上記の内容を決定付けたからです。




ひとつめの目線は、帰宅時など外観を見る目線です。

外観のご要望に2トーン以上の色彩もしくは1色で2つのテクスチャーを用いるという内容がありました。
また、それは立体感を意識付けるためでもありました。

お施主様が仰るには・・・
「よく、玄関先のポーチ部分のみひとつの立体として捉えるために、テクスチャーを変えたり色を変えたりする建物を目にする。」
「やりたい意味は理解できるし、今回もそういう理由で2トーンもしくは2テクスチャーでいきたいと思うのだけど、普通な感じのファサードになってしまうのは・・・嫌だなぁ~。」

そこでご提案したのが立体のボリュームを一般的な比率で無くす方法でした。



例えば上の写真、メゾン・ド・エクリュを見ていただくと、右端のエンジ色の部分は2階テラスの手摺り壁ですが、2階の窓下場と大体同じ高さにあることがお解かりいただけますでしょうか?

これは、2階の床の高さから1100mm以上落下防止の手摺りを設けないといけないという建築基準法からくるもので、開閉可能な窓の腰高さも1100mm以上取らなくてはならないため、高さが揃ってきがちなのです。

この高さ関係は皆さんが日常生活を送る上で、無意識に何度も何度も触れられているので、自然と1100mmの手摺り壁や腰壁を普通と認識しておられます。
1100mmより妙に高いと、窓などが上のほうに付いていると感じられ、1100mmより妙に低いと落ちそうで怖いと感じられるはずです。

それと同じように外観上からも2階手摺り壁の高さや2階腰窓の高さをメゾン・ド・エクリュの高さが普通と感じられます。
左奥に見える大きなFIX窓は2階の床高さから付いている窓なので、目新しく映るのではないでしょうか?

この「普通」の感覚を利用して2階の床高さ+400+1100を天場とした立体をポーチの立体とすることで、普通とはちょっと違ったボリューム感に見える(目新しく感じる)ことを図りました。

そのことを模型を作ってご説明しました。




北側のルーフテラスが必要だった理由は、2008年10月18日の打合せまでさかのぼります。
当時はまだType-10で打合せをしていました。

・ 外を眺めることが出来る場所が欲しい

その時に仰ったご要望です。
「北の眺望、南の日照」と言う言葉はご存知でしょうか?
多くの方は南側に窓が欲しいと仰る理由は、夏にはあまり日差しが差し込まず、冬にはたくさん日差しが差し込む日照条件としては理想的な方角が南だからです。
しかし、庭や景色を眺めるには、実は南の窓は向きません。。。
美しく庭や景色を眺めることが出来る方向は北側なんです。
南から差し込んだ光の反射が北側を向けば望むことが出来、光り輝く美しい景色を眺めることが出来るのです。

そこで、外を眺めることが出来る場所は北側に持って来ました。
これが北側にルーフテラスが必要だった理由です。




また、「外を眺めることが出来る場所が欲しい」という意味を考えました。
タバコも吸われないお施主様が、外に出てまで景色を眺める理由とは?
また、リビングから畑を望むのとは違った眺め方に意味があるのでは?
そう考えたどり着いた答えは、リラックスやリフレッシュといった意味があるのではないか?ということ。

そこで、これも「普通」の感覚を逆利用して、リラックスやリフレッシュをつくろうと考えました。

2階からの景色は、大体普通のおうちなど空間にいると大体同じ高さから眺めています。
また、2階の床はわざとレベル差を設けない限り、お家の中では一般的にフラットです。
だから2階からの眺めも慣れてくると一般的な景色となります。
つまり「普通」になります。

でも、2階の床から景色を見るのではなく、イスに上って景色を見ると少し風景が違って見えた経験はありませんか?
その少しの違い、普通とはちょっと違う場所に北側のルーフテラスをすることで、リラックスやリフレッシュを図れないか?と考えました。

それで2階の床+400mmの高さを北側ルーフテラスの高さとしました。




一石二鳥とは、このこと(笑)。