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感じることの具現化

いつも「難しいなぁ~」って感じることがあります。

例えば、空間に規律というか、一定の緊張感をつくりたいとします。
そのための方法は色んな方法が考えられます。

形状による緊張感
色彩や光による緊張感
素材による緊張感など
様々なもののバランスによって空間の雰囲気やイメージを検討するのですが、、、
どうやって緊張感をつくるのか?を言葉にしてしまうと、本来感じ取ってもらいたかった感覚とは違うようになってしまうと言うか・・・。
魔法がとけてしまうというか・・・(笑)。

本来、知識と感覚が一致するには、すごい時間と努力と経験が必要なわけで・・・。
むしろ知らなかった方が感じられたって経験、あなたはありませんか?(笑)

僕は音楽が趣味で、ギターを弾いたりもするんですが、、、
ギターの弾き始めって、先ずコードといってド・ミ・ソなど和音が引けるように練習するんです。
「C」とか「G」とか、「F」はちょっと難しいんですけど・・・そうやってコードを覚えていくんです。

コードを覚えられると色んな曲のコードを知って、それに合わせてギターを弾いたりします。
その頃になると、色んな曲のコード進行がすごく気になって、ビートルズのペニー・レインはコード進行が凄いなどと曲の一部を妙にピックアップして聴いてしまうようになった気がします。

本来の音楽の捉え方とは違った、偏った捉え方と言うか・・・。

もちろんコード進行の中にも作者の意図や考えなども含まれています。
でも、もしかしたらもっと違ったところに大局があるかもしれません。
もしかしたら、総合的なバランスの中にこそ、意図や意味が存在しているのかも知れません。

つまり、音楽をちゃんと聴こうと思ったら、コード進行やメロディーラインやリズムや編曲や強弱や歌詞や・・・そんな色々なものを知識として理解し尽くして、そこから大局を感じ取れるようになる必要性があるってことになってしまいます。

でも、本当のところはそうじゃないのかも。

そんなことは全然知らなくても、音楽を聴いてて自然に涙が流れるってことの方が大事だったりします。
それこそが音楽を聴くってことのような気もします。

建築でも同じようなことが言えると感じます。

どうして空間に緊張感が存在しているのか?
それは僕らの中では色々図ったり、仕込んだりしています。
角を強調した形状にしたり、垂直面と水平面の間に細い影をつくることで立体感を強調したり、明暗の強弱を強くつけたり、彩度のひらきを大きくしたり・・・。

でも、実はそのことひとつひとつが重要ではなくて、それらのハーモニーがどんな空間をもたらすのか?ってポイントで・・・。
ひとつひとつを伝えてしまうと、魔法が消えてしまうように全体から来る感覚が、丁度コード進行を知りだした頃の音楽の聴き方のようになってしまわないか?と考えてしまったりもします。

そうは言うものの、映画評論家や絵画など芸術評論家がいるように、感覚と理解を一致させていく為にも明確な説明は必要なんでしょうね。

そのことは、例えば僕がお住まいの打合せをさせていただく中でも凄く重要なテーマで、わかりやすくご説明する中でそのお客様の感性やセンスなどを壊してしまわない方法を色々考えツールや仕組みを検討したりもします。
あと、どのようにお話をすればいいのかも、何度も考え直します。

「感じること」の具現化って本当に難しい。
言葉って具現化をしたとしても、それは本当に難しい。。。
余白がいつも必要って感じます(笑)。