つながりの家
完全分離2世帯住宅です。
世帯のつながり、家族のつながり、空間のつながり。
つながりの家。
完全分離2世帯住宅です。
世帯のつながり、家族のつながり、空間のつながり。
つながりの家。
モノには重さがあります。
例えば、道に落ちてる石ころは、拾い上げるまでも無く大体どれくらいの重さかは認識できます。
人の経験からくる感覚はとても優れています。
今回の建物はそういう物質的な感覚を、あえて表現しないようにしようとお施主様と相談しました。
ポーチ上のサングリエ(こげ茶)に塗られた部分は、最初は白い箱にこげ茶の箱が乗っかっているように見えるようにしようか?という話がありました。
でも、正面の1面しかこげ茶に塗られていません。
そうすることで、立体感を見失い、重量感を感じさせなくなります。
3次元的でない表現が、物質的ではないことを表しています。
また、出入り口の位置を暗示させています。
今回のおうちは完全分離の二世帯住宅です。
内部での行き来が出来ないように設計されています。
話し合いで最終的にそのようなカタチをとりました。
そこで、設計的に何とかほのなかそれぞれの世帯のつながりを表現できればと考えました。
玄関ポーチは親世帯と子世帯と共有になりました。
家に帰って来てどちらもの世帯の雰囲気を感じられないか?
そう考え、両世帯の玄関に高窓を設け、目線は届かずして(プライベートを確保して)光が洩れ出してくるようにしました。
また、親世帯と子世帯とのポーチの照明の付き方で、表情が変わるようにしました。
これで、帰ってくるときに
「あれ? もう帰って来てるんだ!」
などとどちらもの世帯がふっと感じられるようにしました。
2階は子世帯のスペースです。
子世帯のLDのイメージは明るく、フランフランの家具が似合うような空間にして欲しいとのことでした。
例えば、ファッション紙の1ページのような、そんな空間を望まれていました。
LDの間には階段にも光を落す為の光庭(ウッドデッキ)がります。
出来るだけ空間が繋がって見える工夫を各所にしています。
例えば、内装のフロアーの目地に外部のウッドデッキを合わせたり、FL(床の高さ)を内外で同じにしたりなどです。
FIXのサッシはテラスサイズ(掃き出しの大きさ)ですが、あえて窓用のFIXを改造して使用しました。
それはサッシの障子(枠)を出来るだけ小さくしたかったからです。
階段はプラン上建物の真ん中に位置するようになってしまいました。
2階が子世帯のスペースなので階段は子世帯の玄関の横にあります。
「行って来ます!」や「ただいま!」の度に上り下りする階段が、建物の真ん中に来ることで暗くなってしまう・・・。
そこで、階段前の空間に光庭を設け、また、階段室の壁やドアをガラスとすることですごく明るい階段にすることが出来ました。
1階は親世帯のスペースです。
今回の計画は、立替でした。
お父様、お母様はお子様(お施主様やお姉さま)との思い出が沢山詰まった、自分達のおうちを壊して、新たな家を建てることが、今回の計画でした。
ご長男が戻ってくるとは言え、多分、複雑なお気持ちだったと思います。
解体の前の日に、新居にもっていくもの、捨ててしまうものの整理をする為のお手伝いをさせていただきました。
お母様は、気持ちを振り切るようにドンドン持ち物を捨てられました。
「でも、家族が囲んだ食卓は(新居へ)持って行きたい!」
1階のリビング・ダイニングは、そのダイニングセットがしっくり来るように検討しました。
カウンターのディテールなどもダイニングテーブルを意識して決めました。
お施主様が大切にされていることのひとつが「おかげさま」という感覚だと思います。
正直、当時の自分には今の自分よりもずっとそういった感覚は薄く・・・
かなりお施主様から影響を受け、今ではとても大切に考えている考え方です。
「おかげさま」
デザインはカタチにする仕事です。
でも、デザインは何をカタチにしているのかと言うと、「想い」とか「考え方」とか、目には見えない何かをカタチにしています。
そんなことは学校でも教わり知っているつもりでしたが、まだまだ解っていなかったと感じます。
「家相」はそういった想いのひとつだと思います。
家族を大切に思う気持ちや、自分達のルーツや、神や、そんな目には映らないもの。
「おかげさま」につながる気持ち。
「つながりの家」で大切だったことは「家相」に象徴される「おかげさま」と言うことだったと思います。
仏間の位置やカタチなどに拘ったり、神奈川県の家相の先生と一緒に間取りを検討したり、工事の無事を祈って和歌山の高野山までお施主様自ら祈願に行っていただいたり、現場を毎週清めていただいたり・・・目に見えないものを大切にされるお施主様だったから、その大切な気持ちをカタチにしていく度、エクリュも気付かされることがあったと感じます。
カタチとは結果で、もちろんそれも大切なことですが、そこに込められた想いがあってのカタチでなくてはなりません。
それがデザインです。
「おかげさま」はデザインそのものの思想なのかも知れません。
今日は穏景の家の外壁の色決めでした。
当然ですが、建物の外観(カタチ)はもう決まってて、ほぼ出来てます。
カタチから受ける印象があります。
今回のおうちは、シンプルな形状ですがインパクトがあるファサード(外観)です。
ファサードなどを意識して2階の床レベルからファサード側のテラスを400mm床レベルを上げました。
そうまでしてファサードを調整したので、カタチから受ける印象は模型などでお施主さまと一緒に検討しました。
そして今日は色決めを行いました。
ファサードを決めるときからずっと迷っていた選択がありました。
先ず、決まっていたことは、マテリアルは土壁の風合いであることでした。
ただ、迷っていたこととは、それだけ考えたファサードを邪魔しないように単色にするのか?それとも検討したファサードの立体感を強調するためにツートーン(2色)にするか?です。
単色とした時は、立体感の強調をテクスチャー(質感・仕上方)で表現しようと思っていました。
色を変えずに吹付けによる土壁調の表現と、コテ仕上げによる土壁調の表現の違いで立体感を表現しようと考えていました。
ツートーンの場合は色の持つ重量感の違いを極端に出すことでメリハリを付け、立体感を表現しようと考えていました。
どちらにしてもファサードの立体感を活かした色やテクスチャーがコンセプトでした。
迷いに迷って、結局ツートーンでいくことになりました。
それはファサードからくるもうひとつの要因が決め手となりました。
マテリアル(素材)がその要因です。
① 安穏(あんのん)
心静かに落ち着いていること。 また、そのさま。
② unknown(アンノウン)
知られていないもの。 まだ解明されていないさま。
このお家で言う「包容」とは、
先ずその棟配置になります。
広いパティオ(中庭)を囲んで配置された建物は、内部からの大きな開放感とプライベート性という相反するNEEDS(ご要望)を実現しています。
また次の意味としては、
気密性能や断熱性能など、各種の性能が非常に高い水準で実現されているところ。
また、それぞれの性能が絶妙にバランスされていて首尾一貫していること。
その高い性能を有した建物が住まう方の暮らしを暖かく見守る姿を「包容」と表現しました。
その他にも様々な意味が込められた「包容の家」。