壁の役割Ⅱ

先日、南側にあった古い建物(住宅)が解体されて、模型でしか見た事の無い姿を現した伸遊の家ですが、どうして南面に白い外壁部分があるのかをご説明します。

「壁の役割Ⅱ」 〜伸遊の家の場合〜

先ほどお伝えした様に、伸遊の家を新築した当時は、南側に二階建ての古い住宅が建っていました。
またその建物は、敷地の北側ギリギリに寄せて建てられており、伸遊の家は南側に開口を設けると、お隣さんと見合いになってしまう状況でした。

上の写真は伸遊の家のリビング・ダイニングルームです。

南向きの大きな窓にはカーテンがなく、白いパティオから光を取り入れて落ち着きのある明るさとなっています。

このパティオに日光を反射させて落としているのが、先ほどのファサードに見えていた白い壁の部分です。

つまり、南側のお隣さんの上を超えて来た日光をパティオに落として、パティオ内で乱反射させた光をリビング・ダイニングルームに取り込み、落ち着きのある明るさとプライベート性とカーテンが無いスッキリした窓を持つ空間を実現しました。

黒っぽい建物に白い壁があるのは、(ちょうど下の写真と同じく)光をリビング・ダイニングルームに送り込む為でした。

床の役割

フローリングや木質の床材は、部屋の長辺方向に板の長辺方向を合わせて貼るのが、セオリーです。

しかし上の写真は、短辺方向に貼っています。
その理由はお分かりでしょうか?

平悠の家は、約30年もの期間を費やしてご自身でつくって来られた風景を眺めて暮らす事が、最も重要なポイントのひとつ。

だから、その風景に目線を誘導する為に、風景方向にフロア材を貼っています。

また窓の外にはウッドデッキがありますが、こちらも風景に目線が誘導されやすい様に短辺方向に板を貼っています。

壁も天井も、そして床も風景に向かう様に工夫しています。

色も形状も風景に向かう様に選択しました。

床は内部の床が、外部にのびて見える様に、レベル(高さ)も内外で一致させています。

この様に、床は、単に歩く為の物では無く、他にも役割を持たせる事が出来ます。

天井の役割

お住まいの中でも、ストーリーを考えて設計したりもします。

訪れた人が、廊下や次の部屋など先に進む事にワクワクする仕掛けを図り、その期待を裏切らない感動を作ろうと考えます。

玄関はそう言った場所でもあります。

上写真は(仮称)西堀町の家の玄関からリビング方向を見た時の天井です。

玄関には向こう側に見えている柱と同じ柱があり、その事で玄関からリビングへの意識が芽生え、天井がそれを誘います。

しかしこの時点では、リビングの気配は感じても見る事が叶いません。

歩みを進めると少し周辺より暗めの廊下がのびます。
この廊下の証明計画も天井への間接照明と、周辺より少し暗めに感じる事でしょう。

この暗めの廊下が重要な役割を果たすのです。

廊下を抜けて振り向くと、そこに広がるのは、ずっと見たかったリビング・ダイニング。
そしてその向こうに庭の木々。

こんな風にストーリーを考えて、プランをします。

チラッと見せたり、見せなかったり。
少し暗かったり、パッと広がったり。
床や壁や天井を利用して、緩急を生んだりします。

そのストーリーを効果的にする様に、色や形状を考えます。

建築の面白いところで、もしかすると機能性とは反したり、一見すると無駄だったりするかもしれません。
しかし暮らしに潤いの様なモノを与えてくれたりもします。

壁の役割

壁は何の為にあるのか?

最も基本的な役割のひとつに、「ハッキリと間仕切る」があります。
外と内や部屋と部屋など、2つ以上のエリアを明確に分ける時、壁が影響力を発揮します。

上の絵は、エリア01からエリア02へ人が移動しようとしているところを示しています。

今の状態を立体視すると、上の絵の様な感じです。

ここに壁を描き加えます。
そうすると下の絵の様になります。

壁を設けた事で、エリアからルームになりました。
つまり同一だった空間が、二つの部屋になりました。

今度は、壁のカタチを変化させる事で、変わる意識を感じてみましょう。
下の絵をご覧ください。

壁にある開口部の形状が変わるだけで、エリア02への移動欲求が高まったり、エリア02への期待度が高まる感覚を感じていただけましたでしょうか?

また、壁の開口部を変化させます。
意識などの違いを再び感じてください。
では、下の絵をご覧ください。

今度は垂れ壁を無くしました。
ルームからエリアに近付いた事に気付かれましたでしょうか?

つまり二つの空間の距離感が近付きました。

この様に、壁は、その形状を変化させる事で、空間を分断したり近付けたり、逆に遠ざける事も出来ます。

今日は壁の役割の一例をお伝えしました。

お住まいづくりのパートナーの選び方

最近、現場の進捗状況をお伝えするブログばかりを書いていた様に思うので・・・

今日は、お住まいづくりをお考えの方の「眼から鱗」となったらイイなぁ〜とのお話を書こうと思います。

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その前に質問させてください。

「アナタのお父様は次のうちどちらのタイプですか?」


「ミュージシャンになりたい」と言う子供に「学生の本分は勉強だろ!」「馬鹿な事を言っていないでシッカリ勉学に励み良い学校に進みなさい!」と答える父。


「ミュージシャンになりたい」と言う子供に「どうしてミュージシャンになりたいのか?」と問い。「多くの人に感動を与えたい」と子供が答えると、「どんな感動を届けたいのかが知りたいから、一度、音楽で父さんに伝えてくれないか?」と言う父。


その他

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①と②の違いは何か分かりますか?

逆に共通点を先に伝えると、①も②もきっと③も我が子の事が大切で、良くなって欲しいと思っている点でしょう。

根っこの部分が同じなのに、どうして返答が違ってくるのでしょう?
では、①と②の違いを考えてください。

①はミュージシャンが嫌い
②はミュージシャンが好き
そう言う場合もあるかも知れません。

でも今回の答えは違います。

答えは、こう言えるのでは無いでしょうか?

①は、自分の「正しい」が明確にあり、その「正しい」を行う事で良くなると考えている父親

②は、相手(子供)の想いを出来るだけ理解しようと試みる父親

つまり想い(良いや正しいなど)のイニシアチブに違いがあります。

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さて、住まいづくりに話を戻しましょう。

良い住まい・良い暮らしを得たいと考えるのは万人の夢ではありますが、その「良い」とは誰にとってでしょうか?

それは愚問で、住む人にとっての「良い」です。

住む人によっての「良い」は、誰が知っていますか?
誰の中に答えがありますか?

これもまた愚問で、住む人が知っており、住む人の中にしか存在しません。

では、なぜ弊社の様な会社が存在するのか?
それは、専門的で分からない事が多いからでしょうか

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それもあるかも知れませんが、こうも考えられませんか?

(住む人)自分たちの「良い」が、本当に総合的に考えだすと「良い」なのかが難しいから

または、自分たちの「良い」がまだまだ不明確な事が多いと思うから

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工務店や設計事務所、ハウスメーカーなど、家や住まいを建てる会社や、暮らしを考える会社は色々あります。

それらの会社は決して父親的な存在ではありませんが、似ているポイントもあります。

例えば、全ての会社が、(誰にとってかは置いておいて)「良い家にしたい」「良い暮らしを提供したい」と考えています。

ところが考え方やサービス内容などに違いがあります。

それは「良い」の考え方や捉え方の違いからも起こって来ます。

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それぞれの会社さんの「良い」に対しての考え方・捉え方は、その会社さんのサービス内容や方法、言動などからも知る事が出来ます。

①のお父様も②のお父様も、③のお父様も子供の将来を想う様に、全ての会社さんは、家や暮らしを想っています。

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ちなみ弊社は、②であり③であり、状況によっては①の時もあるのかも知れません。


「良い」はお施主様の中に存在しているので、それを「魔法の質問」や「イメージマップ」、「原価オープン方式の見積書」などを用いて探します。


データなど情報を提供し、判断材料としてご利用いただきます。

「ミュージシャンになりたい」に置き換えると・・・
年間で国内でミュージシャンを志す方の数を示し、またメジャーデビューする数から、達成率を出します。

続いて年間で大学を志す現役高校生などの数を示し、ミュージシャン達成率を投じ出てきた数字から、どの難易度の学校に相当するかを伝えます。

あくまでもデータであり、実際とは異なりますが、比較的理解しやすい言語や数値などに置き換える事で判断材料としていただきます。


弊社の基準や、弊社が定める性能的にクリアしていただく数値などがあります。
その他にも弊社が定めるルールなどがあります。

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今日はお住まいづくりにおけるパートナーの選び方の一例をお伝えしました。

皆さまのお住まいづくりにお役立ていただけましたら幸いです。

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最後にお知らせさせてください。
2020-06-27・28・29
10:00-18:00(29のみ16:00)
福井市足羽1丁目にて
内覧会を開催予定です。

皆さまのお越しを心よりお待ちしております。

長文にお付き合いいただき、ありがとうございました!

植栽工事

昨日は「歩先の家」の植栽工事が完了しましたが、本日は、先日地盤改良工事を終えた(仮称)舟橋新2の家の中庭(パティオ)の植栽を先行して仮植えしました。

植栽を含めた外構工事は、建物が出来てきて最後の方に着手するのが一般的ですが、それだと(仮称)舟橋新2の家の場合、大きなクレーン車が必要で、工事費が嵩んでしまう為、工事中の水やりなど大変な事も予測はされましたが、先行して中庭の植栽を植える事にしました。

雨が降らない限り、これから毎日、水やりです。

6月27日(土)〜29日(月)
オーナー様のご厚意のもと、特別内覧会の開催を予定している「歩先の家」。

今日は、前庭の植栽が完了致しました。

建物に緑が寄り添うと、壁に絵を飾ったが如く、空気感が一気に高まります。

「やっぱりいいね!」を連呼してしまいます。

今日の福井は30℃を超えたとか!
暑い中、作業にあたってくれた方々、本当にありがとうございました!

玄関からリビングへ

玄関の木質調の天井がリビングまでのびているのは、玄関に訪れた来客者が、リビングへの期待を高める仕掛け。

そんな天井を持つのは(仮称)西堀町の家です。

天井だけで無く、柱や壁など様々な部位で出来る玄関からリビングへの意識を高める工夫が施されています。

小さな事の積み重ねなので、感受性の高い方で無いと意識にも上がって来ないかも知れません。

しかし、ご本人が具体的に気付かれずとも、深層では影響を受けているのです。
それは丁度、おいしい水を飲んでいる間に、気付かずミネラルを摂取しているのと似ています。

今日は、(仮称)西堀町の家の壁と天井のクロスを貼り終えました。

芸術専門楽群

https://www.geisen.art/archives/689

芸術専門楽群さんに取材していただいたのは、ちょうど2階のエクリュ・ギャラリーにて「片山裕二展」を開催している時でした。
その時の内容を記事にしていただき、本日、掲載していただきましたので、ご案内させていただきます。
よろしければご覧いただけると嬉しいです。

道草

(仮称)西堀町の家は、仕上げ工事の真っ最中。
クロスはほとんど貼り終え、仮吊り込みを終えた建具の完成を待って、本吊り込みを終えると、形状的な設計意図が、ほぼ見る事が出来る様になります。

その時が間も無く訪れると、現場に足繁く通います。

現場からの戻り。
いつも出来る限りですが、帰り道のルート上に、オーナー様のお住まいがあるルートを選びます。

多少、回り道になっても、オーナー様のお住まいをみて回るのが、趣味みたいなモノなのです。

伸遊の家は、南側のお家が取り壊され、模型でしか見た事が無い外観を見せてくれています。

(仮称)西堀町の家の帰り道は、必ず伸遊の家の前は通ります。

「あっ!今日も stay home している」など、オーナー様の暮らしを感じて癒されたりもしています。

あとは、舞優の家の前も通ります。
今日は偶然、オーナー様、奥様と娘さんが帰って来たところに出会し、少し立ち話。

こんなラッキーな日もあります。

続いて招彩の家の前を通過。
いつも照明がキレイに見えます。

こんな風にパトロールするのが趣味です。

皆さま、暮らしを楽しまれていたり、シアワセそうな雰囲気を感じられると、応援していただいている気に勝手になって、僕もシアワセな気持ちになれるからパトロールを続けています。

無理矢理、足を伸ばす程では無い、チョットした道草を楽しんでいます。

昨日は双幸の家のオーナー様奥様と家の前でバッタリお会い出来ました。
だから、二日連続のラッキー・デイでした!