「諸行無常」は、日本人の精神性を語るうえで、外す事の出来ない心情だと思います。
例えば、部屋の模様替えが好きで、模様替えをすると何だかスッキリした気持ちになるのは、日本人の特徴的な行動と心情だと思います。
一方欧米では、部屋名に家具の名前がつきます。
ベッドルームは、当然にベッドを置く事が前提となった部屋で、家具ありきで部屋がつくられます。
つまり、用途替えや模様替えが想定されない。
それに対して日本は、ちゃぶ台を置けばそこはダイニングルームとなり、布団を敷けばそこはベッドルーム(?)となるといったように空間をフレキシブルに使います。
それは世界でもまれにみる人口密度の高い日本で、ウサギ小屋と言われたコンパクトな住まいを使いこなすと言うだけでなく、「諸行無常」の考え方も影響しているのだと分析します。
結果、模様替えが好きとの事に繋がって行くのだと考えます。
(形あるものは全て消滅する・固定化するとそこから劣化する)
そんな日本人にあって、キッチンや洗面など設備があるわけでは無いのに、固定的にスペースを使用する場所があります。
それは、「床の間」です。
床の間には、季節を感じられる花を生けたり、心情を表す書をかけたりします。
(お茶に詳しいわけではありませんが)お茶などでは、訪れた際、床の間に飾られた掛け軸から、家主の気持ちなどを受け取ると言った事もあると聞きます。
そんな床の間は、デコレーション・スペースとして、固定的に使用しているのが、とても面白く感じます。
「諸行無常」を押しても固定化した「床の間」。
ここにも日本人の心情が観えて来ます。
それは例えば・・・
「自然や季節と共に生きるという事」
「おもてなしの気持ちを表現する事」
「静かに想いを伝える奥ゆかしさ」など
美しい日本が観えて来ます。
「絵のない部屋は、水の無い庭と同じだ!」
これは僕の師匠の言葉ですが、僕も本当にそうだと思います。
もっと言うなら・・・
「絵のない部屋は、まるで意図のない機械のようだ」とも思います。
Siriが言う「ありがとうございます」みたいです。
(でも言われて悪い気はしないんですけどねw)
床の間が布団置き場になっているのでは、生活に追われている事は、伝わってきますが、本当に残念。
清少納言もそんなところを目にしたら「すさまじきもの。」に加えるハズです。
「昼吠ゆる犬。春の網代。三、四月の紅梅の衣。(何より床の間の布団。論外。)」
やはり床の間には「日日是好日」などの書が掛けられていると、フッと立ち止まれたりもします。
和室をご要望される方も少なくなり、ですから床の間があるお住まいの方が珍しいかも知れません。
ただ、壁はある。
むしろお住まいを検討される際、絵を飾る事をイメージされて壁や照明を設けるくらいでもちょうど良いとも僕は考えます。
そして気分で音楽を変えるように、季節や雰囲気で絵も掛けかえるような・・・かなりリッチで理想的な暮らしですね。
憧れます。
現在弊社では、「スモウレスラーズウィズマナーズ」と題して絵画展を開催中です。
「スモウレスラーズウィズマナーズ」は、ちょうど冒頭にお話しした日本文化意識しオーストラリア文化の中で制作した絵画の展覧会です。
力士に代表される折り目正しい礼儀作法「manners」と、ウィーン菓子の定番「Manner」をかけ、日本の伝統を背景にオーストリア文化の中で生まれたアート作品をご紹介させていただいております。
詳しくは、以下のURLをご参照いただけましたら幸いです。
https://www.ecru-arc.co.jp/ecru-gallery/%E3%82%B9%E3%83%A2%E3%82%A6%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%82%BA%E3%83%9E%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%80%80haruka-tomotaka
ご自宅の空いている壁はありませんか?
もしありましたら、その寸法を測っていただき、そこに合う絵を探されてはいかがでしょうか?
皆様のお越しを、心よりお待ちしております。