帰る場所と、“自分のまん中に住む”ということ
帰りたくなったよ
今日、8年ぶりに福井へ帰ろうかと考えはじめた方とお話をする機会がありました。
福井駅は、昨年の新幹線の開業をきっかけに大きく姿を変えました。
駅舎は刷新され、駅前の街の顔もずいぶん変化したように思います。
8年前、出発したときの風景を知っている人にとっては、帰ってきたはずなのに、「帰ってきた感」が持てなかったかもしれません。
僕も大阪出身ですが、大阪はいつも変化のスピードが速くて、帰郷してもどこか「地続きではない感覚」があって、自分の“原風景”のようなものが見つからないことがよくあります。
(そう!茶屋町のLoFtも無くなった・・・)
きっとその方も、「自分が出発した場所」が、地理的にはそこにあるのに、感覚的には見つからなくて、心細くなったのではないか——そんなふうに感じました。
住まいの役割
「家(住まい)」は、帰る場所です。
でもその“帰る”というのは、単に物理的な移動だけじゃなくて、
「自分に戻ってこられる場所がある」ということなんじゃないかと思います。
たとえば、そんな「自分に戻ってこられる場所」として設計した住まいに、
“帰自の家” や “三有の家” があります。
世の中にはさまざまな「不安」があります。
正しさが揺れることもあるし、選択肢が多すぎて見失うこともある。
だからこそ、人には「軸」が必要なんだと思います。
それは、まわりがどうであれ、自分のまん中に立ち戻れる感覚。
慌ただしくても、揺れても、ちゃんと戻ってこられる「原点」。
僕はそれを「軸」と呼びたいと思っています。
自分のまん中に住む
エクリュの住まいづくりでは、
「空間をつくること」と同じくらい、
「自分のまん中に住むこと」を大切にしています。
帰る場所があるからこそ、安心して冒険できるし、
冒険をした分だけ、帰ってくる意味も深まる。
「家(住まい)」とは、そういう存在であってほしいと思っています。
新幹線で街の景色が変わっても、
帰る場所の“意味”までが変わるわけではありません。
むしろ、景色が変わるからこそ、自分の軸が際立つのかもしれません。
そんなことを思い出させてくれた、今日の一場面でした。
「自分のまん中に戻る」ような暮らしを、一緒につくっていけたらと思っています。