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なぜ、心地良い家には「空気」があるのか?

なぜ、心地良い家には「空気」があるのか?

 
空気を設計する住まいづくり

先日、
あるお住まいのプランニングをしていた時のこと。

例のごとく、
サッシの配置や大きさ、
垂れ壁や袖壁の有無などを、
ずっと調整していました。

もちろん、
単に明るさを確保するためではありません。

家具のレイアウト。
光の量と質。
視線の抜け。
壁の量。
空間の重心。

そういったものを、
何度も何度も調整していたのです。

そして、
お施主様が集めてくださったイメージ画像を、
繰り返し見返しながら、
僕は考えていました。

「この空間は、なん?」
(軽いのか?重いのか?)

と。


コントのセットと、映画のセット

 
リアリティの違い

こんな経験はないでしょうか?

テレビの再現VTRや、
コントのセットを見ていて、
どこかリアリティの薄さを感じること。

もちろん、
それを前提として見れば楽しめるのですが、
時々、
妙に説明的で、
現実感が途切れてしまうことがあります。

一方で、
映画などは、
セットであるはずなのに、
自然とその世界へ入り込める。

気づけば、
何の違和感もなく、
ストーリーへ没入しています。

その違いは何なのか?

きっと、
美術さんやプロの方でないと、
簡単には言語化できないと思います。

壁の厚みなのか。
光なのか。
家具やモノの量なのか。
素材感なのか。
余白なのか。

様々な要素が、
複雑に絡み合いながら、
その空間の「空気」をつくっているのです。


人は、“空気”を感じている

 
空気感のある空間

ただ、
ここで大切なのは、

「専門家しか分からない世界」

ではないということ。

例えば、

なぜか落ち着くカフェ。
長居したくなる本屋さん。
帰りたくなる家。

逆に、
何となく疲れる空間。
早く出たくなる場所。

人は日常の中で、
そうした“空気”を、
無意識に感じ取っています。

ただ、
それを言葉にすることが難しいだけなのです。

だから僕たちは、
その感覚を、
少しでも共有できるよう、
悩みながら打合せをしています。


空間には、「質量感」がある

 
空間の重みと軽さ

今回のプランでも、
窓の大きさや配置を考える時、

「どれだけ開くか?」

だけではなく、

「どれだけ閉じるか?」

も、
同時に考えていました。

空間には、
軽さや重さのような、
“質量感”や“密度”があります。

開口部が多すぎると、
軽くなり過ぎることもある。

逆に、
閉じすぎると、
圧迫感になることもある。

さらに、
そこへ家具が入り、
収納するモノ、
素材感や色が加わる。

それら全てが、
空間の空気を変えていきます。

つまり、
窓ひとつを決めるにも、

「外が見える」

だけではない、
様々な要素が関係しているのです。


でも、“任せる”だけでは、関係性が薄くなる

 
ただ、
こういう話をすると、

「難しいことは、プロに任せればいい」

と思われることがあります。

もちろん、
専門的な知識や技術は必要です。

でも、
エクリュは、
“全てを任せる”
だけでは、
ウェルビーイングな暮らしは継続しにくいと考えています。

なぜなら、
暮らしの豊かさとは、
モノとヒトとの関係性が深まることで、
育まれていく部分が大きいからです。

モノとヒトとの絆


モノとヒトとの絆

 
例えば、

関係性の薄い多くの人々のSNSへ、
「イイネ!」を押し続ける時間より、

たった一人の大切な人と、
ゆっくり時間を過ごす方が、
心が満たされることがあります。

それと少し似ています。

住まいもまた、

「ただ消費するモノ」

ではなく、

「関係性を育てていく存在」

になった時、
暮らしの質が変わっていく。

自分で考え、
悩み、
選択し、
理解しながらつくった住まいには、
自然と愛着が生まれます。

そして、
その愛着は、

・丁寧に扱うこと
・整えようとすること
・維持しようとすること

へとつながっていく。

だからこそ、
ウェルビーイングな暮らしが、
長く続きやすくなるのだと思います。


だから、共有したい

 
エクリュでは、
イメージ・マップなども用いながら、

言葉にし難い感覚までも、
できる限り共有したいと考えています。

それは、
設計者のこだわりを押し付けたいからではありません。

住まいと、
住まう方との関係性を、
より深く、
濃いものにしたいからです。

どうすれば伝わるのか?
どこまで共有すれば良いのか?

図面だけでは、
伝わらないことがある。

でも、
言葉だけでも、
伝わらない。

だから今日も、
空間の“空気”まで共有できないかと、
悩みながら、
僕たちは設計し、
打合せに臨んでいます。