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消えない魔法のつくり方|物語が暮らしを豊かにする理由

消えない魔法のつくり方

 
お祭りの魔法は消える(消えない魔法のつくり方)

子どもの頃、
こんな経験はありませんか?

お祭りの出店で、

「欲しい!」

と思った物を買ってもらう。

その時は、
世界一素敵な宝物に見えたのに、

家へ持ち帰り、
翌朝見ると、

「あれ?」

昨日までの魔法が消えている。

そんな経験です。

僕は子どもの頃、

どうして魔法は、
こんなにも早く解けてしまうのだろう。

そう考えました。

そして、

消えない魔法をつくる方法はないのか。

そんなことを、
ずっと考えていました。


魔法を見破る方法

 
消えない魔法の契約

そのおかげで、

子ども騙しには騙されない、
少し可愛くない子どもになりました。

目が肥えたとも言えるでしょう。

でも、それは、

「魔法が消えない方法」

ではありません。

ただ、

「魔法を見破る方法」

を覚えただけでした。

本当に知りたかったのは、

どうすれば魔法は消えないのか。

その答えでした。


魔法の正体

 
消えない魔法の正体は?

では、

魔法とは何でしょう。

あの高揚感は、
何によって生まれていたのでしょう。

思い返してみると、

そこには、

大勢の人の高揚感が共鳴する空気。

だんだん暗くなる空を照らす提灯。

胸に響く太鼓の音。

甘い匂い。

笑い声。

そして、

少しだけ大人に見えた、
浴衣姿の好きだった子。

そんな、
その場にしか存在しない空気がありました。

だから、

物だけを家へ持ち帰っても、

魔法まで持ち帰ることはできなかったのです。


魔法を焼き付ける方法

 
魔女は13歳で独り立ち

では、

持ち帰れない魔法を、

どうすれば物に宿せるのでしょう。

僕がたどり着いた答えは、

物語でした。

たとえば、

店主との印象的な会話。

たとえば、

何日も悩み続けた時間。

たとえば、

その場所まで足を運んだ道のり。

そんな物語は、

記憶を物へ焼き付ける溶剤になります。

そして、

魔法は、
少しずつ解けにくくなるのです。


だから簡単には買わない

 

時間がかける魔法

今でも僕は、

物を簡単には買いません。

欲しい物が見つかれば、

まず歴史を調べます。

必要なら、

美術館や博物館へ行きます。

製法も学びます。

「これだ!」

と思っても、

一日、

二日、

時間を置いてみます。

それでも、

やっぱり

「これだ。」

と思えたら、

やっとお店へ向かいます。

そして、

お店へ行っても、

すぐには買いません。

店主と、

ああでもない、

こうでもない、

いろいろ話をします。

もし、

その時間が心に残らなければ、

買いません。

でも、

会話も、

空気も、

時間も、

心地よいと思えたら、

ようやく購入します。

もし売り切れていても、

後悔はしません。

ご縁が無かったのだと思います。

僕は、

物語を信じているのです。


僕が欲しいもの

 
古伊万里と若狭塗箸

多分僕は、

物が欲しいのではありません。

消えにくい魔法

が欲しいのだと思います。

武生まで折れ釘を探しに行ったこと。

小浜で若狭塗箸について学んだこと。

古伊万里を前に、

「貴重な物ではなく、毎日使える物が欲しい。」

と骨董品屋の店主に話したこと。

そんな物語まで含めて、

毎日の暮らしに並ぶ。

だから、

何年経っても、

その物を見るたびに、

思い出まで一緒によみがえります。


住まいも同じ

 
古伊万里

僕は、

この感覚が、

エクリュの住まいづくりにつながっていると思います。

流行だけで選んだ住まいは、

いつか魔法が解けます。

でも、

自分の内側から生まれた理由。

自分だけの物語。

自分らしい価値観。

そんなニーズから生まれた住まいは、

時間が経っても色褪せません。

だからエクリュでは、

ウォンツではなく、

ニーズから住まいを考えます。

子どもの頃、

お祭りで買った物の魔法が翌朝には解けてしまった日から、

僕はずっと、

暮らしの中に、消えない魔法をつくる方法

を探してきました。

そして今も、

エクリュの住まいづくりを通して、

その答えを探し続けています。

不器用な誠実さ