エクリュは、引渡し後10年以上経ってから評価される会社
エクリュは、引渡し後10年以上経ってから評価される会社

週末は、(仮称)高木町の家のお施主様と、エクリュをご紹介いただいたお施主様の京都にお住まいの叔母様を、我が家「遊び心の家」にお招きして、食事会をしました。
叔母様には、エクリュをご紹介いただいたお礼をお伝えしたい。
そして、
なぜ京都にお住まいなのに、福井で家を建てるならとエクリュをご紹介いただけたのか。
その理由も、直接お聞きしたいと思い、遠方からお越しいただきました。
その時に、叔母様から、こんなお話をいただきました。
「エクリュは、引渡し後10年以上経ってから評価される会社ですね」
とてもありがたいお言葉でした。
正直に言うと、僕にとっては、これまでの仕事を評価していただいたようで、とても嬉しい言葉でした。
しかし同時に、
「実は、10年も必要ないんですよ」
とも思いました。
暮らしが崩れるのに、10年も必要ない
まだ家を建てたり、購入されたりした経験のない方は、あまりご存じないかもしれません。
新しい住まいが完成した時。
家具が入り、カーテンが取り付けられ、生活に必要なものが揃った時。
多くの方は、
「これで、理想の暮らしが始まる」
と思われるのではないでしょうか。
しかし、実際には、
入居したその日から、理想の暮らしと現実の暮らしのズレが始まることがあります。
早い方なら、入居したその日から。
多くの場合でも、数年以内に。
思い描いていた暮らしとは、少しずつ違う現実が見えてくる。
そんなことは、決して珍しいことではありません。
そのことは、数字にも表れています。
住まいを建てた後も、
「いつでも人を招くことができる」
状態で暮らしている方は、一般的には17.2%。
一方で、
「人を招くことができない状態のまま暮らし続けている」
方は、55.4%にも及ぶというデータがあります。
つまり、
理想の暮らしが続かなくなるのに、10年も必要ない。
この現実は、決して他人事ではないのだと思います。
建築が完成した時、暮らしも完成するのか?
僕は大学を卒業してから、長く住まいづくりに携わってきました。
その中で、マンションディベロッパーに勤めていた時期があります。
そこでは、ユニット、つまり住戸部分のカラースキームを検討する会議がありました。
床。
壁。
天井。
建具。
キッチン。
その他の仕上げ材。
それぞれの素材や色のサンプルを集め、面積比や色彩のバランスをコラージュにして、営業や販売などの関係者にプレゼンテーションします。
もちろん、建築としては大切な作業です。
しかし、その会議で僕は、いつもあることを感じていました。
それは、
建築の中だけで、カラーバランスを整えようとしている。
ということです。
建築が完成した時。
家具が何も置かれていない状態。
そこにある床や壁や天井だけを見れば、確かに美しく整っている。
しかし、暮らしが始まれば、
ソファーが入り、
ダイニングテーブルが入り、
椅子が入り、
カーテンが入り、
照明が入り、
家電が入り、
日用品が入り、
調度品が入り、
趣味のものが入り、
家族の持ち物が入ってきます。
つまり、
建築が完成した時点では、暮らしはまだ始まっていません。
暮らしは、そこに人とモノが入ってきて、初めて始まります。
にもかかわらず、
建築だけで美しく完結させようとする。
そこに、僕は少し違和感を持っていました。
家具まで整えれば、理想の暮らしは続くのか?
そこで、あるプロジェクトを行うことになります。
有名ブランドの家具を先にセレクトし、
その家具を配置した状態で、
家具付きのユニットとして販売する。
建築だけではなく、
家具まで含めて暮らしを整えよう。
そう考えたプロジェクトです。
当時は、かなり意欲的な試みだったと思います。
しかし、このプロジェクトは、様々な意味で、思ったような結果にはなりませんでした。
そして僕自身、今振り返ってみると、最も大きな失敗は、
見た目をプロフェッショナルに整えただけだったこと。
だと思っています。
家具を配置する。
色を整える。
美しい写真を撮る。
有名なブランドの家具を置く。
しかし、
その家具が、実際の暮らしの中で、どのように使われるのか。
そこまで、きちんと共有できていなかった。
ある時、1脚30万円もする椅子の上に、洗濯物が置かれているのを見たことがあります。
もちろん、それを見て、
「せっかくの高価な椅子に、洗濯物を置くなんて」
と考えることもできます。
しかし、
その椅子の価値を、住む方が知っているとは限りません。
その椅子が、なぜそこにあるのか。
なぜその形なのか。
どのように使うものなのか。
なぜ30万円もするのか。
それを知らなければ、
その椅子は、
「座る場所」
でしかありません。
場合によっては、
「洗濯物を置くのにちょうどいい場所」
になることだってあります。
ここで僕は、大きな挫折を味わいました。
見た目だけを整えても、暮らしは機能しない。
ということです。
プロが、理想の暮らしをつくってくれるわけではない
その経験から、僕は少しずつ気づいていきました。
プロが考えた家具。
プロが考えた動線。
プロが考えたカラースキーム。
プロが考えた美しい空間。
それだけでは、
その人の理想の暮らしが続くとは限らない。
ということです。
なぜなら、
その暮らしを実際に送るのは、
プロではないからです。
そこに住む方です。
住む方には、
これまでの暮らしがあります。
これまでの動線があります。
これまで使ってきた家具があります。
これまでの物の量があります。
使う頻度があります。
片付け方があります。
家族との関係があります。
趣味があります。
習慣があります。
そして、
本人さえも言葉にできていない、
「自分にとっての当たり前」
があります。
それらを無視して、
プロが一方的に理想の暮らしを計画しても、
実際の暮らしと一致するとは限りません。
むしろ、
美しく計画された暮らしと、実際の暮らしとの間に、ズレが生じる。
そのズレが、少しずつ住まいを変えていきます。
暮らしを機能させるために必要なこと
福井で仕事をさせていただくようになってから、僕は、
どうすれば、住まいが実際の暮らしの中で機能するのか。
を考えるようになりました。
そこで、設計者が計画した動線よりも、
住む方が、今までどのように暮らしてきたのか。
を重視するようになります。
どこを通っているのか。
どこで何をしているのか。
何をどれくらい持っているのか。
何を頻繁に使うのか。
何をほとんど使わないのか。
どこに何を置いているのか。
家族はどのように過ごしているのか。
そうしたことを整理していく。
つまり、
これまでの暮らしを知ること。
そこから、
これからの暮らしを考えること。
が必要なのだと気づきました。
しかし、そのためには、
住む方自身が、
自分たちの暮らしを見つめ、
言葉にできる仕組みが必要です。
「何となく」
「おしゃれに」
「広く」
「使いやすく」
それだけでは、
実際の暮らしを共有することはできません。
そこで、
ヒアリングシート。
イメージ・マップ。
原価オープン。
その他の様々な仕組みが生まれ、
現在のエクリュの打合せへと発展していきました。
エクリュは、10年以上経ってから評価される会社
こうした経験を経て、
現在のエクリュの住まいづくりがあります。
その結果として、
昨日、
「エクリュは、引渡し後10年以上経ってから評価される会社」
という言葉をいただきました。
これは、僕にとって、とても嬉しい言葉でした。
なぜなら、
エクリュが大切にしているのは、
完成した瞬間の美しさだけではないからです。
10年後も、その人らしい暮らしが続いていること。
10年後も、人を招くことができること。
10年後も、住まいが暮らしを支えていること。
そこに価値があると考えているからです。
実際、
2020年以降にエクリュが建てさせていただいたお住まいのうち、
86.6%が「いつでも人を招くことができる」住まいとなっています。
もちろん、
残りの13.4%は、今後の弊社の課題です。
しかし、
完成時の写真だけではなく、
暮らし始めてから何年も経った後の状態を見つめる。
そのことを、エクリュは大切にしています。
見た目だけでは、見た目すら整わない

僕は、
見た目だけでは、見た目すら整わない。
と思っています。
なぜなら、
暮らしが始まれば、
そこには人がいて、
モノがあり、
生活があり、
時間があり、
習慣があるからです。
どれだけ美しく設計された住まいでも、
そこに暮らす人の現実と噛み合わなければ、
少しずつ変わっていきます。
白馬の王子様が、
シアワセを運んできてくれるわけではありません。
同じように、
プロが、理想の暮らしをつくってくれるわけでもありません。
これは、
大学を卒業してから、
長くこの業界に携わってきた僕自身の実感です。
だからこそ、
「エクリュは引渡し後10年以上経ってから評価される会社」
という言葉をいただけたことは、
本当に光栄で、
そして嬉しいことでした。
家を建てることは、暮らしを完成させることではない
家を建てることは、
暮らしを完成させることではありません。
むしろ、
暮らしが始まる場所をつくることです。
だからこそ、
その人が、
どのように暮らしてきたのか。
何を大切にしてきたのか。
どのようなモノと暮らしているのか。
これから、
どのような暮らしを続けたいのか。
それらを知ることが大切です。
建築だけを見て、
家具だけを見て、
見た目だけを整える。
それでは、
暮らしの一部しか見ていません。
住まいは、暮らしのためにある。
だから、
暮らしを知らずに、
住まいをつくることはできない。
僕は、そう考えています。
そして、
先日いただいた言葉を胸に、
これからも、
完成した瞬間ではなく、
10年後、
20年後、
その先の暮らしまで、
想像しながら、
住まいづくりを続けていきたいと思います。