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イメージ・マップから選び取ったモノ

イメージ・マップ

 
エクリュの打合せ手法のひとつに、
イメージ・マップ」があります。

イメージ・マップとは、

言葉にすることが難しいイメージを、
画像を使って共有するためのツールです。

お施主様に、
好きな空間や暮らしの画像を集めていただき、

それらをプロの視点で分析しながら、
共通点や傾向を言語化していきます。

イメージ・マップ


あるエピソード

 
先日、
(仮称)高木町の家の打合せで、

イメージ・マップに関する
とても象徴的な出来事がありました。


最初はインターネットの画像から

 
(仮称)高木町の家のお施主様は、

当初、
InstagramやPinterestなど、

インターネット上の画像を
たくさん集めておられました。

その頃は、
比較的傾向が分かりやすく、

分析もスムーズでした。


変化のはじまり

 
しかし、

打合せを重ねる中で、
少しずつ変化が現れます。

ある時から、

図書館で借りて来られた建築書籍や雑誌から
イメージを選ばれるようになったのです。

そこで僕は、

エクリュにある建築雑誌も
自由に持って帰ってくださいとお伝えし、

気になった写真に付箋を貼って
持って来ていただくことにしました。

実際に付箋を貼っていただいたイメージ画像


画像の質が変わった

 
すると、

選ばれる画像が
明らかに変わり始めました。

使われている素材。

光の取り入れ方。

空間の構成。

家具の配置。

建築とインテリアの関係性。

どの写真にも、

「なぜそうなっているのか」

という理由が感じられるようになったのです。

実際に付箋を貼っていただいたイメージ画像


もちろん無意識です

 
とは言え、

お施主様が
そうした建築的な意図を理解した上で
画像を選ばれていた訳ではありません。

きっと、

「なんだか好き」

「なんだか心地よい」

そんな感覚で
選ばれていたのだと思います。

しかし、

だからこそ面白いのです。

人は、
自分でも気付いていない好みを
無意識に選び取っていることがあるからです。


見えてきた課題

 
一方で、

画像の傾向が変わると、
建築に求められる内容も変わります。

より上質な素材。

より繊細な空間構成。

より丁寧なディテール。

当然、
建築コストも上がっていきます。


そこで僕は、

最近のイメージ画像に現れている変化を
お施主様にお伝えしました。

その上で、

ふたつの選択肢をご提示しました。


ふたつの選択肢

 
ひとつは、

建物の広さを優先する方法。

建築は当初のイメージをベースとしながら、

将来、
家具や照明、
絵画や調度品などで、

少しずつ理想の空間へ近付けていく方法です。


もうひとつは、

建物を可能な限りコンパクトにし、

その分の予算を
素材や空間の質へ投入する方法。

最初から完成度の高い、
上質な空間を目指す方法です。


お施主様の選択

 
お施主様が選ばれたのは、

前者でした。

つまり、

暮らしの中で育てていく方法です。

家具や照明。

植物やアート。

日用品や調度品。

完成した住まいの中で、

少しずつ選び、
少しずつ整えていく。

そんな選択をされたのです。


遊び心の家も同じです

 
岩谷堂箪笥

実は、

我が家も同じ考え方です。

住み始めて14年が経ちますが、

今も主寝室に置く箪笥を探しています。

「まだ決まらないの?」

と思われるかもしれません。

でも僕は、

それを残念なことだとは思っていません。


暮らしとの対話

 
なぜなら、

暮らしへの興味が
今も続いているからです。

住まいとの対話が
終わっていないからです。

李朝家具


家は完成します。

しかし、

暮らしは完成しません。


むしろ、

完成した後の方が長い。

そして、

その時間をどう過ごすかが、

ウェルビーイングに大きく関わっているのだと思います。


選んだのは暮らし方

 
今回、

(仮称)高木町の家のお施主様は、

イメージの打合せでしたのに、
素材や色や形状など

イメージを構成するモノを選ばれたのではありません。

むしろ

住まいが完成した後の
暮らし方を選ばれたのです。


住まいを設けることが目的ではなく、

暮らしを楽しみながら育て続けること。

そのための余白を残すこと。


完成度よりも、

可能性を選ぶ。


そんな選択だったように、
僕には感じられました。