「一期一会」と「継続」は、矛盾しない。
「クリの無垢材」と「一期一会」

今日の(仮称)松岡観音の家の現場では、
床仕上げ材の施工が進められていました。
採用したのは、
クリの無垢材です。
憧れの床材

無垢材は、多くの方にとって憧れの床材ではないでしょうか。
もちろん、僕もその一人です。
自邸を建てる際にも候補に挙がりましたが、当時は子育ての真っ最中でした。
きれいな状態を保ち続けられる自信が持てず、さらに床暖房も外せなかったため、チーク柄のシート貼りの床材を選びました。
それでも、オイル仕上げの無垢材ならではの触感や風合いへの憧れは、今でも消えることがありません。
だからこそ、(仮称)松岡観音の家で施工されているクリの無垢材を見るたびに、とても羨ましく感じます。
お茶を嗜まれるお施主様

(仮称)松岡観音の家のお施主様は、お茶を嗜んでおられます。
表千家とお聞きした時は、プランニングにも自然と背筋が伸びました。
最終的に茶室は採用せず、その名残を感じられる和室を設けることになりましたが、設計を進める中で「茶の湯」の考え方について、自分なりに思いを巡らせる機会となりました。
「一期一会」と「継続」
エクリュが住まいづくりで大切にしている言葉に、
「継続」があります。
一方、お茶の世界には
「一期一会」という考え方があります。
僕は茶道を嗜んでおらず、正確な解釈ではないかもしれません。
それでも、
「次はないかもしれないからこそ、その一瞬を大切にする」
そんな教えなのではないかと思っています。
一見すると、「継続」とは正反対の考え方のようにも思えます。
しかし、僕にはそうは感じられません。
続かないことを知る
エクリュが考える「継続」は、無理をして守り続けることではありません。
むしろ逆です。
できるだけ自然体で、
いつもの自分のまま続けられることを目指しています。
なぜなら、無理は続かないからです。
そして「継続」を考え続けてきたからこそ、続かないことにも詳しくなりました。
- 人との縁は続かないかもしれない。
- 物は壊れるかもしれない。
- 社会は変わるかもしれない。
- 命には限りがある。
だからこそ、未来を保証しようと力むのではなく、今日という一日を丁寧に積み重ねる。
その積み重ねこそが、結果として「継続」につながるのだと考えています。
そう思うと、「一期一会」と「継続」は決して矛盾しません。
自分らしくあること
では、何を軸に積み重ねればよいのでしょうか。
エクリュが大切にしているのは、
「自分らしくあること」
です。
自分以外の誰かになろうと頑張っても、長くは続きません。
見栄も、
背伸びも、
演じることも、
いつか疲れてしまいます。
だからまずは、
自分を知り、
自分を受け入れ、
その自分に合った住まいをつくる。
エクリュで言う「内観の知」とは、そのための考え方です。
継続は、自然体の延長線上にある
あらがわず、
ありのままを受け入れ、
その自分で今日を丁寧に暮らす。
その姿勢が続いた結果として、
「継続」が生まれる。
そして、一つひとつの出会いや時間を大切にする姿勢は、「一期一会」の心とも重なっているように思います。
クリの無垢材に託された想い
茶の湯を嗜まれる(仮称)松岡観音の家のお施主様。
そして、約10年もの間、エクリュのブログを読み続けてくださった方でもあります。
だから今回のクリの無垢材も、単なる憧れではなく、ご自身の価値観や暮らし方を踏まえた選択です。
住まいを設けても、いつでも人を招ける状態を維持している方は17.2%。
一方で、人を招けない状態で暮らしている方は55.4%にも及びます。
「継続」は、決して簡単なことではありません。
だからこそエクリュは、四半世紀にわたり、理想の暮らしが長く続く仕組みを考え続けてきました。
クリの無垢材も、これから傷がつき、色合いが変わり、味わいを深めていくことでしょう。
その変化を受け入れながら、日々を積み重ねていく。
そこには、「一期一会」の心と、エクリュが大切にしている「継続」の考え方が、自然なかたちで同居しているように思います。
その暮らしが末永く豊かなものとなり、お施主様のご負担が少しでも軽やかなものとなることを願っています。
