ダイニングチェアーにおける、「重量」以外の「重み」探し
(仮称)松岡観音の家の重み

ある日の打合せでの会話。
「ダイニングチェアーには、ピエール・ジャンヌレのキャピトル コンプレックス オフィス チェアを想定しています。」
『重いのは、嫌だなぁ』
「承知致しました。しかし、空間には重みが必要ですので、別の方法で検討してみます。」
(仮称)松岡観音の家は、
イメージ・マップの分析結果から、
空間に“重み”を持たせる必要がありました。
発注承認打合せ

今日は現場にて、
(仮称)松岡観音の家の発注承認打合せを行いました。
エクリュでは、
工事着手の直前に、
これから発注する内容について
契約内容との整合性や、
お施主様のご意思を再確認します。
それを、
発注承認打合せと呼んでいます。
住まいの設計は、
図面が完成したら終わりではありません。
むしろ、
そこからさらに純度を高めていく作業が続きます。
少しでもニーズに近づけることで、
住み続けてもウェルビーイングが継続される住まいになるよう、
ギリギリまで確認を重ねています。
クロスの決定
今回の主目的は、
値上げ前に発注を行う
壁や天井のクロスを決定することでした。
(仮称)松岡観音の家は、
イメージ・マップの分析結果から、
差し色を使わず、
シンプルで、
明暗がはっきりした空間が求められています。
その方向性は、
お施主様とも共有できていたため、
クロス選びは驚くほどスムーズでした。
ブレることなく、
イメージ・マップの範囲に収まる選択をしていただけて、
僕自身も安心できる時間となりました。
イメージを構築する
クロスが決まり、
いよいよ空間のイメージを整える段階です。
そこで、
以前から保留になっていた
ダイニングチェアーの方向性を決めるため、
お施主様と一緒に家具屋さんへ向かいました。

体感しないと分からない
理想の暮らしが継続される住まいについて考え続けてきた中で、
家具には、
意外と知られていない重要な役割があります。
それは、
座り心地です。
座り心地が悪いと、
家で落ち着けません。
そして、
落ち着けない住まいは、
少しずつ暮らしを乱していきます。
インターネットでは、
価格も分かります。
見た目も分かります。
寸法も分かります。
でも、
座り心地や触感などは経験できません。
実際に座りに行くしかないのです。
座り心地とは何か
座り心地は、
お尻や背中だけで感じるものではありません。
イスを引く時の重さ。
立ち上がる時の感覚。
食事をする時の姿勢。
本を読む時の距離感。
手で触れた時の感触。
そうした様々な体験が重なって、
はじめて座り心地になります。
だから、
モバイルの画面からは、最も重要なポイントが何も伝わっていないのです。
重みと重量
今回、
僕が悩んでいたのは、
「重みが必要」
という分析結果と、
「重たいイスは嫌」
というご希望・ご要望でした。
一見すると、
矛盾しているようにも見えます。
でも、
実際には違います。
重みと重量は、
必ずしも同じではありません。
素材に厚みを感じること。
物語や歴史があること。
作り手の想いが感じられること。
長く使われ続ける理由があること。
そういったものからも、
重みは生まれます。
だから今日は、
色々なイスを見て、
触れて、
座って、
その可能性を探っていました。
言葉と感覚
イメージ・マップでは、
「重み」
「軽やかさ」
「静けさ」
「やわらかさ」
といった言葉で共通認識を作ります。
しかし、
言葉を共有したからといって、
感覚まで一致する訳ではありません。
そこには、
体験が必要です。
今日、
たくさんのイスに座ったことで、
言葉と感覚の距離が少し縮まったように感じました。
共通認識とは、
説明して作るものではなく、
一緒に体験して育てていくものなのかもしれません。
お施主様との共通認識も深まり、
インテリアの方向性も見えてきました。
住まいづくりにおいて、
一緒に過ごす時間がなぜ大切なのか。
そのことを、
あらためて感じた一日となりました。