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避難所の実現(リトリート)

帰自(きじ)の家は、東側に馬渡川や川沿いに遊歩道がある幹線道路から一筋入った閑静な住宅地に位置します。
北、二軒隣りには、10年以上前に弊社で建てさせていただいた「両美の家」があります。

もともと畑としてその土地をお持ちで(住まいは別の場所)、その畑をやめて住まいを構える事になりました。

終の棲家となる事を意識され、平屋にて計画。
無理を必要としない、静かで穏やかな暮らしを望まれました。

「リトリート」って言葉はご存じですか?

直訳すると、主に「退去・隠居・隠れ家・避難所」などの意味になります。
「リトリート」とはつまり、仕事や家庭、人間関係などの日々の多忙な生活やノイズから離れ、自分だけの時間を持ちリラックス、リフレッシュする事で、自分を取り戻したり疲れを癒す方法の事を意味します。

スマートフォンやSNSなどの影響もあり、常に他人と接する状況下で、ストレスを感じる人が増えているそうです。
そこで、出てきた言葉が「リトリート」という言葉です。

帰自の家は、まさにリトリートな住まいです。

解りやすい特徴としては、窓がほとんど型ガラス(透明のガラスではない)です。
外部からの目線を切る事も目的ですが、直線的な日光の入れ方ではなく、乱反射させた天空光のような光にして取り入れ、落ち着きのある空間に演出する事も目的にあります。
それによって、落ち着きのあるやわらかい光に包み込まれる雰囲気がつくられています。

外部をのぞむ窓は無く、型ガラスの窓ばかりなのに、内部に入って閉塞感は感じません。
むしろ広がりすら感じます。
それは形状・色彩などに工夫を施し、目線を止めにくかったりつながりを感じさせたりしている効果です。

この様な目線や光のコントロールも全て、リトリートな住まい、避難所のような家にする事を実現する為です。

性能面でもリトリートな住まい・避難所のような家の実現を図っています。
寒い日も、玄関を開けると家中があったかく感じるように、断熱性能はもちろん、床暖房設備などを配備。
平屋により、地震時などの構造の安定性も確保されやすいです。
また、窓が少ない事も、断熱や構造の性能を向上させる事にプラスにはたらいています。