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ミニマル実現への計画

想支の家は、美術館やギャラリーの様な空間(ホワイトキューブ)に暮らす事を理想として計画が進められたお住まいです。

ホワイトキューブをカタチづくる事は、そんなに困難な事では無いかも知れません。
しかし、ホワイトキューブの中でイメージ通りに暮らし続けるのは、困難を極めます。

美術館やギャラリーが、ホワイトキューブである理由は、絵画やオブジェなど展示物の輪郭をより明確にし、その物をくっきりと浮き立たせる(見せる)事にあります。

暮らしとなると、空間(部屋)に置かれる物は、絵画やオブジェだけで無く、日用品など必要な物も置く事になります。 時には、郵便物やチラシなど、不要となった物も存在するかも知れません。

その事が、ホワイトキューブの中でイメージ通りの暮らしを続ける事の難しさがあります。

上写真には、少しでもホワイトキューブの中での暮らしの手助けとなり得る様に考えられた工夫があります。

リビングなどで使用される物を想定していただき、それらを収容する場所を設けたのが、壁面収納です。

また、壁面収納は、中庭(タイルデッキ)とのつながりを強調する事にも一役買っています。

ファサード(外観)は、美術館やギャラリーを連想される形状などを選択して、内部の暮らしの演出をしています。

例えば、ルーフテラスの軒先は、厚みを出来るだけ小さくしています。
一般的な住宅建築と納まりを変化させる事で、非日常感を生み出す様、考えての事です。

また、ルーフテラスの軒天には、もう一つ役割があります。
それは、夜間、通りかかった方への街の灯りを提供する事です。
外向けに勾配を取り、灯りの反射板の役割をしています。
灯り(照明器具)にはタイマーが組み込まれており、一定の時間、点灯する設定が可能となっています。

細かいところでは、土台水切りと言う部材が、一般の住宅とは違う物を使用しています。
これも非日常感を生み出す為の選択です。

ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ(Ludwig Mies van der Rohe)の言葉に「神は細部に宿る(Der liebe Gott steckt im Detail)」があります。
ご予算の範囲で可能な限り、ディテールを探求されています。

土台水切りを無くしてしまう選択もあるのかも知れませんが、床下の環境を良くするなど維持管理性も考えた場合の選択となります。

ガラスの中でも、とても高価なフロストガラスを使用されているのも、「Der liebe Gott steckt im Detail(神は細部に宿る/God is in the details)」をご理解いただいての事です。

ファサードの植栽も特徴的な風景をつくっています。
青みをおびた砂利は、海をイメージし、植栽エリアは島をイメージしています。

想支の家は、「ミニマル」であり続ける事を目指して計画が進められました。