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白になる訳

2002年に武生で建てさせていただいたお住まいが上写真です。

今でこそ、目新しくは映らないこの建物も、20年前は違い、内覧会に同業他社の方が社員研修かの様にお越しになられる程、インパクトがありました。

それ程までにインパクトがあったこのお住まい。
全く同じモノを建てて欲しいと仰る方もおられる程でした。

その影響は2005年に独立してからも続き、白い箱の家の注文が何年にも何年にも渡って続きます。
しかし、弊社がご提案したいお住まいは、「住み続けて、なお理想の暮らしが続くお住まい」であって「白い箱の家」ではありません。

ですが、20年前のこの建物のインパクト。その影響で何年もに渡って弊社で建てさせていただいたお住まいが白い箱の家であった事から、「エクリュ=白い箱の家」とイメージ付けられてしまい・・・弊社が最も大切に考えている「住み続けて、なお理想の暮らしが続くお住まいのご提案」という部分が届く事が難しい状況も続きます。

それを弊社では「白い箱の呪縛」と呼んでいました。

そこで、「お住まいを計画するに当たってのご説明」などを、この20年間(エクリュになってからは17年間)日々見直し、少しでもエクリュが考えるお住まいづくりをお伝えして来ました。

そして今に至ります。

おかげ様で、今は、エクリュの考え方なども(当時よりかなり)ご理解いただける環境にもなりました。

その上でも、ファサード(外観)を白い箱の家とされる方もおられます。

その理由は、深い思考によるご選択をされる方が、弊社に多い事も、ひとつの理由だと思います。

デッサンをされた事がある方は、その理由のひとつが解りやすいかも知れません。

それは上写真の石膏像にその理由があるからです。

デッサンを初めて直ぐは、下写真の様な面取りの石膏像からレッスンする事が多いです。

コレは立体を正しく理解して立体感を表現出来る様に、基本的なデッサンの技術を学ぶ為です。

形状を正確に理解するのに、「色」や「素材感」が加わってしまうと、最初の頃はそれらに惑わされてしまう為、真っ白で素材感も一定、形状も解りやすい面取りの石膏像からレッスンをスタートされる方が多いです。

話を戻します。

思考を深めると、どうして白いお住まいになる事があるのか?

それは、建物のファサード(外観)の形状を熟慮される事が影響します。

一生懸命考えられてカタチにされたファサード。
その形状が、整えば整う程、その形状を見せたいと考えられる結果になる方もおられます。

形状を正確に伝えるには、石膏像の様に、情報を形状のみに絞り込み、「色彩」「素材感」を排除するのが良いとの発想に至り、白い箱のお住まいになる。
その様な経緯を辿られる方が少なく無くおられます。

また、形状の意味を、「色彩」と「素材」にて強調させる方も一方でおられます。

この例もファサードの思考を深められた結果です。

弊社のお施主様・オーナー様は、思考を深められた結果、白い外観を選択される方もおられます。

実は、昨日の(外部を構成する部分)の打合せでも、一旦、真っ白な外観にされようとなりました。

しかしそれまでの帰自(きじ)の家の外部を構成する部分の打合せでは、ツートン若しくは木質部分と白い部分にて構成させる方向で検討が進んでいました。

それは、イメージマップの分析結果から導き出されたモノでした。

弊社では、イメージマップを作成してイメージの打合せを行なっております。

言葉にする事が難しかったり、共有化するのが難しいイメージを、共通の認識にして行く為のツールです。

昨日の帰自の家の打合せでは、一旦、真っ白の外観になりましたが、イメージマップにて分析されている潜在的なニーズを再確認する事で、木質部分を加え、真っ白では無くなる結果になりました。

イメージなどは、気分的な部分に影響されやすい事なので、変化を受け入れる事も大切だと思います。
一方で、潜在的にあるイメージへのニーズも確認していただき、「住み続けて、なお理想の暮らしが続くお住まい」の実現に、少しでも近付けていただければと思います。