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カタチの意味

おかげさまで、LIXILメンバーズコンテスト2023 新築部門 敢闘賞を受賞させていただいた「均幸の家」です。

大切な事は、ひとつひとつのカタチの意味では無く、それらが総合的に奏でる事で感じられる、空間に身をおいて感じられる感覚なのですが・・・

とは言え「神は細部に宿る」とも言いカタチは重要です。
今日は少しだけカタチの意味をご説明してみようと思います。

玄関からリビングに向かうと、天井面が線状に奥にのびているのが見て取れます。
この線は、リビングの奥行きを強調する役割も担っています。

夜には間接照明がラインを強調し、また空間の演出します。

ダイニングからキッチンへ向かう際にくぐる入り口にある、上にのびるラインは、吹抜けを高く感じさせる意図があります。

「線」は、目線を動かす方向を誘導する事に利用しています。

次は「厚み」です。

矢印で示した壁の厚みは、一般的な木造住宅の壁厚とは違い、分厚い事が見て取れます。

これにより、リビングの吹抜けに安定感を加える事が出来ます。

同様に、階段の吹抜けに安定感を持たせる分厚い壁です。

この壁は、更に重厚感を持たせる為に、他の部分の壁の色より彩度を下げ、グレー色としています。
重みの印象を増す事で、安定感を増す事が目的です。

この様に、均幸の家のカタチは、意味を具現化して出来ています。
とは言え、冒頭に言った様に、大切な事は、その空間に身をおいてどんな風に感じるのか?との感覚です。

リビングに入った時に「広いなぁ〜」と感じたり、「落ち着く」など感じていただく為に、細部の形状をコーディネートしているのです。

もっと言うならば、カタチが感覚を誘導している事に気付かれてしまっては、成功したとは言い難い感覚もあります。

「実際の帖数より、とても広く感じるけど、どうしてだろう?」のようなご感想をいただいた時に、成功した!と感じます。

言わばカタチは魔法です。
呪文には意味なく、起こる現象に意図があります。