すっきりしたフラットな天井【想支の家】
想支の家──ダウンライトを使わず天井を美しく見せる工夫

想支の家では、住まい全体の印象を大きく左右する「天井の見え方」にこだわりました。特に、省エネを意識しながらも、視覚的に美しく、落ち着きのある空間づくりを目指しています。
ダウンライトをあえて使わない理由
省エネが重要視される今、照明器具も日々進化しています。最近では、必要な場所にピンポイントで明かりを配灯できるダウンライトが主流です。
しかし、上の写真にはダウンライトが写っていないことにお気付きでしょうか?
想支の家は、ギャラリーのようにシンプルで静かな空間を目指した住まいです。そのため、天井に照明器具を並べることで生じる「ノイズ」を避け、すっきりと美しい天井面を実現するために、ダウンライトを極力使わない設計としました。
階段室の工夫──光を「反射させる」照明設計

こちらは階段室の写真です。ここにもダウンライトは使われていません。
手すり壁の上部に仕込んだ照明から放たれる光を、斜めに設計された天井面に反射させることで、やわらかく広がる明かりを確保しています。
さらに、昼間の明るさにも工夫があります。ルーフテラスから取り込んだ自然光を、ガラス手すりを通して階段室にやさしく届けることで、時間帯に応じた快適な明るさを実現しました。
勾配天井と軒裏──ファサードへの意識

階段室の勾配天井は、ルーフテラスの軒裏と同じ角度で設計されています。実はこの勾配、夜の外観(ファサード)を意識したものです。
天井面と軒裏は、夜間に照明の光をやわらかく反射させる「反射板」としての役割も持っています。建物の正面を印象的に見せる大切な要素なのです。
光を削ぎ落とし、空間の静けさを生む

以前のブログ記事「起源はタレルの部屋?」でも触れたように、ルーフテラスの庇が薄く見える設計には、夜のファサードを美しく見せる意図が込められています。
このように、想支の家では、空間における「光の在り方」を丁寧に設計し、視覚的ノイズを削ぎ落とすことで、居心地の良い静けさを生み出しています。
省エネ性能だけでなく、空間の美しさと心地よさを両立させる──それが、想支の家の照明計画のこだわりです。





