乗算の家の10年点検|夫婦の思考を掛け合わせたウェルビーイングな住まい
乗算の家の10年点検に行ってきました

本日は「乗算の家」の10年点検に伺いました。
このお住まいは、ご主人の趣味嗜好と奥様の趣味嗜好を掛け合わせることで完成した、とても印象深いお住まいです。
僕にとっても、深い学びをいただいた事例のひとつです。
AでもBでもなく、Cを選ぶ。世界平和は家族から
住まいづくりでは、しばしば「Aの意見」と「Bの意見」が対立する場面があります。
そんな時、多くは自分の正当性を相手に伝え続け、平行線を辿ることになりがちです。
ところが「乗算の家」のご夫婦は、AでもBでもなくCという答えを選ばれました。
つまり、ご主人のイメージだけでもなく、奥様のイメージだけでもなく、掛け合わせて導き出した新しい住まいの形です。
この選択は、どちらの趣味嗜好も単純に実現していないにも関わらず、譲り合いと共存共栄の精神が結晶化した空間をつくり出しました。
僕はそこに、とても日本的でありながらも、大袈裟かもしれませんが、世界平和に導けるような思考の在り方を見たように思います。
僕の予想を超えた選択
実のところ、僕は最初、ご夫婦それぞれの空間をエリア分けして実現されるのだろうと考えていました。
なぜなら、お二人ともが明確で洗練されたイメージをお持ちで、ストライクゾーンもはっきりしていたからです。
しかし実際は、すべての空間を掛け合わせてつくられるという、僕の予想を超えた選択をされました。
それは「見た目の方向性」ではなく、「共に暮らすことを大切にした世界観」に軸足を置いておられたからだと感じています。
建物を見ただけでは、誰も気付けないかもしれませんが、僕にとってはとても素晴らしい気付きと学びをいただいた住まいでした。

掛け合わせるを象徴したニッチ。
ご夫婦それぞれの好みのクロスが
コラージュされています。
健やかな暮らしが住まいを守る
10年点検では、いつも不思議なことを体験します。
心穏やかに暮らしておられるオーナー様のお住まいは、劣化のスピードが遅いのです。
今回の「乗算の家」も、とても良い状態がキープされていました。
本当にオーナー様ご家族の暮らし方のおかげだと、強く感じます。
住まいと人は、お互いに影響し合っているのだと思います。
ご家族の成長を見守る住まい
点検の帰り道、今日は習い事でお会いできなかったお子さまのお話をしながら戻って来ました。
打ち合わせや工事中は未だ産まれたばかりの赤ちゃんだったお子さま。
それが今では奥様の身長に並ぶほどに成長されたことを伺いました。
住まいがご家族の成長を見守り続けてきたことを思うと、胸が熱くなります。
「乗算の家」は、これからもきっと、ご家族とともに健やかな時間を重ねていくことでしょう。
最後に
「乗算の家」が教えてくれたのは、単なる意見の折衷ではなく、
お互いを思いやりながら、新しい価値観を掛け合わせていくことの尊さでした。
その選択の仕方もまた、住まいをより豊かにし、暮らしをよりウェルビーイングへと導いているのだと今日も実感しました。
これからも点検を通じて、ご家族の暮らしを見守れることに感謝しています。