その先があるから
「路地のようなスペースが欲しい。 若杉にあるはなまるきって居酒屋は知ってますか? あの感じが路地のイメージなんです。」
最初の頃に仰られたお施主様からのご要望でした。
左の写真は実際のはなまるきのエントランスの写真です。
当初は必ずプランの中にこのようなスペースがあったのですが、プランニングを進めていく中、どうしても他のスペースの方に(ご要望の)ウェートが重くなり、このような路地をエントランス部分につくることは出来なくなっていきました。
でも、お施主様はあきらめませんでした。
いつもエクリュでお話させていただくコトなんですが、欲しいものが手に入る方法は何かご存知ですか?
お金ですか?
誰とパートナーシップを組むかですか?
もちろん物理的な要因は否定できません。
でも、最も大切なもののひとつに「切なる想い」・「強烈な願望」があるのだと思います。
どんなことでもそうですが、コトを進めていく上で障害は避けて通れません。
その障害を乗り越え、目的を達成させるために必要モノは「想い」です。
その想いが強いか弱いかで叶うか叶わないかが決まると感じます。
左の写真は「静と動の家」の階段です。
この空間は居酒屋のエントランス空間と同じ役割を果たすことをコンセプトとして設計されました。
本論へ向かう為の序論のような・・・。
そんなイメージの空間です。
先への期待(希望)。
ファサードのスリット窓とルーフテラスのスリットはそんなアイデンティティをファサードからも解るようにしました。
写真で建物右側にある(路地的な)階段室を外観からも感じ取れるようにしました。
最初からずっと通して仰ったご要望である「路地的な空間」の意味するところを、建物の中にしっかりと注入できたのは、お施主様の想いの強さがあったからに他ならないと思います。
夢は願い続ければ叶うのだと思います。
それにはその先を期待できる強さが必要なのかも知れませんね。