やさしさと対話のある空間──アートと住まいに通じるもの
新たに加わった川嶋守彦作品

先日、大阪のギャラリーで手に入れた川嶋守彦さんの作品を、我が家のリビングに飾りました。
すると、空間にとても心地よい空気が生まれたのです。
なぜだろう?と考えてみました。
現代アートの世界は、とても広くて自由です。
一本の線、色のベタ塗り、ナイフで切り裂かれたようなキャンバス……
どんな表現も、そこには無限の解釈があり、まるで宇宙のように広がっています。
けれどその「自由」の中に、僕はときどき、不安や怖さのようなものを感じることもあります。
大海原に手漕ぎボートで一人浮かんでいるような心細さ。
あるいは、激しいうねりの中で自分を見失ってしまいそうな感覚。
作品と“対話”が生まれず、自分だけが置き去りにされているように感じることもあるのです。
でも、川嶋さんの作品には、そのような怖さがありません。
目の前に置いてじっと向き合っていると、
作品がそっと語りかけてくるような、やさしい気配があるのです。
そこにはたしかに、“対話”が生まれています。
きっとそれは、川嶋さんご自身の誠実な人柄や、
表現に向き合う真摯な姿勢によるものなのだと思います。
表現とは、「伝える努力」でもある。
その努力があるからこそ、作品は安心感を持って、私たちの心に届いてくる。
優しさとは、そんな「伝える努力」の積み重ねなのかもしれません。
川嶋守彦作品と住まいの類似点
住まいも、どこか似ていると思います。
ただおしゃれなだけ、奇抜なだけでは、心に残る住まいにはなりません。
本当に大切なのは、「安心感」や「つながり」、そして「自分らしさ」を感じられること。
つまり、暮らす人と“対話”できる空間であることが必要なのだと思います。
僕たちエクリュは、住まいを“作品”として一方的に提示するようなことはしません。
むしろ、お施主様の想いにじっくり耳を傾け、
ご本人ですらまだ言葉にできていないような気持ちを、ていねいにくみ取りながら
住まいという「かたち」にしていきます。
それは、表現であり、対話であり、そして「伝える努力」の積み重ねです。
アートと同じように、住まいも“受け手”がいてはじめて完成するもの。
だからこそ、僕たちは空間が住まい手にやさしく語りかけ、
長く寄り添っていけるように──そんな想いで、日々住まいをつくっています。
