健やかに住まう人のそばに──10年目の「空創の家」
10年目の「空創の家」──美しさは、住まう人の心から
本日、「空創の家」の10年点検に伺ってきました。
「空創の家」は、厳しい周辺環境を逆手に取ったお住まいです。
たとえば、お隣は3階建て。正面にはルーフテラスのある家があります。
それらから視線を避けるように、あえて外部に開かないデザインを選ばれました。
そのことで生まれた大きな壁面に、ご夫婦の強いアイデンティティが静かに、けれど確かに刻まれている。
僕にとっても、思い入れの深いお住まいのひとつです。
屋根の上から見える「思想」
点検時、僕は必ずこのお家の屋根に上がります。
というのも、とても安全に屋根へあがりやすいと言うこともあるのですが、この家の美しさは“俯瞰の目線”でこそ最もよく見えるからが大きな理由。
屋根の上から眺めると、その姿はまるでアート作品。
高い俯瞰からの美しさがあります。
外に開かない造形が、かえって凛とした個性を際立たせていました。
そして今回も、屋根はきれいな状態を保っていて、とても嬉しくなりました。
美しさは、暮らしの姿勢から生まれる
ご主人はお仕事柄、直近2年ほどは多忙を極めておられ、ご自身では「手が行き届いていない」と仰っていましたが、そんなことはありません。
10年が経っても、美しさが保たれている住まいには、“日々の丁寧な暮らし”が確かに存在している。
「空創の家」は、5年点検のときも美しかったですが、10年点検を迎えてもなお、どこか「清らかさ」のような空気が漂っています。
心地よい家には、劣化が起きにくい?
点検をしていると不思議なことに、居心地の良い空気が流れる家ほど、劣化の進みが遅いように感じます。
まるで、モーツァルトを聴かせて育てたミニトマトが美味しくなるという話のように、住まいと人の“感情”は共鳴しているのでは?と、そんな想像をしてしまいます。
健やかに暮らす人たちの力になりたい
「空創の家」のオーナー様のように、しっかりと日々を生きている人たちの住まいは、僕らのような者の出番が少なくなります。
でもだからこそ、何か報いたい、支えになりたい、そんなふうに思います。
現実の社会では、誠実な人が報われにくいようなことも多くあると感じます。
だからこそ、せめてエクリュの住まいづくりでは、“まっとうに生きる人”が報われる環境を構築したいと、強く願っています。
エクリュ・ギャラリーは、そのひとつのカタチです。
いただくばかりの幸せ
…そんなふうに思いながらも、
やっぱり僕らは、オーナー様から“いただく”ばかり。
今日は、ご実家から送られてきたというサクランボまでいただいてしまいました。
次に関西へ帰省した際には、ぜひ何かお土産を持って伺いたいと思います。
住まいを通して、人の優しさや誠実さに触れられる。
そんな日々を、今日もありがとうございました。