起源はタレルの部屋?
タレルの部屋にヒントを得た、ギャラリーライクな暮らし──想支の家の建築的工夫

ギャラリーライクな暮らしのために
想支の家は、美術館やギャラリーのような空間で暮らすことを目指してつくられました。
ギャラリーのような空間をつくるだけであれば、それほど難しくはありません。しかし、実際に生活が始まり、その空間性を「維持すること」は、決して簡単ではありません。
そのため、ギャラリーライクな暮らしを“続けられるように”するにはどうすればよいか──その視点で建築的な工夫をとことん突き詰めたのが、想支の家の特徴です。
タレルの部屋との出会いが、庇のデザインを変えた
上の写真では、ルーフテラスの庇(ひさし)の先端が、非常に薄く仕上げられているのがわかります。
これは、打合せ中に話題にのぼった「タレルの部屋(James Turrell’s Skyspace)」から着想を得たディテールです。

タレルの空間の魅力のひとつは、天井と空が同一面に見えることです。つまり、天井に厚みが感じられない点に特徴があります。
残念ながら、木造建築では天井の厚みを完全にゼロにするのは難しく、どうしても“線”が発生してしまいます。
なくなったアイデアの“なごり”が、設計に残る面白さ
実際には、打合せの途中で「タレルの部屋」を再現する計画は無くなりました。しかし、「できるだけ厚みを見せない納まりを検討した」というプロセスが、庇の先端デザインとして残っています。
このように、当初のアイデアが“なかったこと”になるのではなく、建築のどこかに形として残る。これはエクリュの設計における魅力のひとつです。
ちなみに、この庇の薄さには他にも理由があります。それについては、以下の記事をご参照ください。
住宅が施設建築のように見えるという面白さ
こうしたディテールへのこだわりが、住宅でありながら、まるで美術館や公共施設のような「ギャラリーライクなファサード」に仕上がっています。
さらに、その印象には外構の工夫も大きく関係しています。その詳細については、こちらの記事もぜひご覧ください。
ギャラリーライクな暮らしを建築で支える
このように、建築の工夫によって「ギャラリーライクな空間」ではなく「ギャラリーライクな暮らし」を実現しようとしたのが、想支の家です。
毎日の生活の中で、ミニマルで美しい空間をどう保つか。建築がその支えになる──そんな思いが詰まった住まいなのです。





