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日常の中にある「美」

日常の中に宿る「美」と、住まいづくりの視点

現在開催中の「élan vital 前壽則展」。
僕は、前壽則先生の作品の多くが ご自身のご自宅の庭にある植物 をモチーフとしていることに、深い感動を覚えました。
そして失礼ながら、そこにエクリュの住まいづくりの視点と非常に近いものを感じたのです。


誰かが決めた「美」ではなく、自分の六根で定める「美」

前先生のモチーフは、特別な名所でも絶景でもありません。
先生はスケッチブックを片手に日本三景を巡るようなことは決してされません。
家の庭という日常の中に存在するものを、静かに見つめ続けておられます。

élan vital 前壽則展 日常の中にある「美」

その背景にあるのは、
眼・耳・鼻・舌・身・意(心)という六根で「美」を判断されるという姿勢です。
誰かが定めた価値ではなく、自分自身の感覚によって「美」を見いだす。
それを もっとも身近な日常の中 に求めている点に、僕は大きな意味を感じるのです。


なぜ46.5%の住まいが、数年で人を招けなくなるのか

実は、この問いにも前先生の姿勢が深く関係していると考えています。

それは、多くの人が
日常の中の「美」を感じ取れるほど、自分の感覚を研ぎ澄ませていない
という理由からです。

さらに言うと、

  • 自分の感覚ではなく、誰かがつくった「美」をそのまま受け入れてしまう
  • それをあたかも“自分の美意識”だと錯覚してしまう

このような状況が、住まいの荒廃や感性の鈍化につながっているように感じます。


現代の暮らしは、感覚のノイズに満ちている

フェイクやデフォルメ、映えるものに心を奪われ、
耳障りの良い言葉だけを求め、耳の痛い話を避け、
香水の量は増え、
添加物や化学調味料で舌は鈍り、

―― どれほど酔えば気が済むのか?

そんなふうに、自分からどんどん離れていってしまう人や状況を、最近とても多く目にします。
だからこそ僕は、静謐さを保つことに力を注ぐべきだと強く思うのです。


暮らしは「ハレ(非日常)」ではなく「ケ(日常)」にある

話が「」の方向へ進みそうなので戻しますが、暮らしは日常の積み重ねでできています。
前先生の絵画は、見過ごされがちな毎日の中に潜む élan vital(生命の躍動) を丁寧に写し取ったものです。

エクリュの住まいづくりも同じく、
理想の暮らしが継続するためには、日常の中に感動できる静謐な状態を保つこと が重要だと考えています。

そしてその静謐さによって、
内観の知 ― 自分自身を知ること
を深めることが重要なのです。

前先生の作品には、その姿勢がそのまま表れているように感じます。
だからこそ、今回の展覧会がエクリュにとって大きな意味を持つのです。

前壽則先生のご説明はとてもわかりやすく素晴らしい

élan vital 前壽則展

会期:2025年12月6日(土)〜 12月21日(日)
時間:13:00〜18:00
休廊日:月・火曜日
場所:エクリュ・ギャラリー(駐車場あり)
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