収納計画上手は、暮らし上手。
「想支の家」は、ギャラリー・ライクに暮らす事が、コンセプトでした。
日常生活を送りには、様々な物が住空間内に存在します。
毎日使う物。 一週間に一度は使う物。 一ヶ月に一度、使う物。 一年に一度、使う物。 何だったら使わない物まで、住空間には存在しています。
そんな中でギャラリー・ライクに暮らすのは、至難の業。
そこでご提案したのが見せない壁面収納でした。
可能な限り収納である事も隠し、壁に見えるようにする事で、ギャラリー・ライクな暮らしの可能性を高めました。
この壁面収納の役割は、単に収納に留まりません。
外(インナーテラス)まで伸びる壁と見せる事で、内外のつながりを強調。
リビング空間を広く感じさせる事にも役立っています。
内外に伸びる壁を印象付ければ、その効果は更に増します。
「帰自の家」は、白い空間の中で、壁面収納と延長する壁をグレーにする事で目立たせ、空間の一体感を更に協調しました。
グレーを更に黒色にし、メリハリを強くする事で更に内外の一体感の強調をしているのは「緑陽の家」です。
ここまでは、隠す収納をご紹介してきました。
しかし、それらはいずれもミニマルな暮らしのイメージを実現するモノです。
弊社では、イメージマップといって、共通認識にする事が困難なイメージを、言葉や数字などに置き換えて共通認識を深める為のツールを使用していますが、それによると全ての方がミニマルな暮らしを望まれている訳ではありません。
つまり、魅せる収納も必要な場合があります。
インテリアで住む方のアイデンティティをプレゼンテーションする事は、住まいの役割として、とても重要だからです。
弊社の打合せスペースに、大きな本棚があるのも、その理由です。
どんな本が置いてあるのかで、その方などの思考が読み取れもします。
「ゆきあいの家」のオーナー様は、自分たち(親)の思考などが、子供たちのキッカケに繋がればと、階段を上がった共有スペースに本棚を設けられました。
この様に、アイデンティティを表現すると言うか・・・自分たちらしい空間にする事は、弊社が目指す17.2%以内に入る住まいづくりにおいて、コアと言っても良いほど重要な事です。
ここまでは、どちらかと言うとヴィジュアル的なお話をしました。
しかし、そのヴィジュアルも、継続されてこそアイデンティティなどの表現になったり、心地よい暮らしとなります。
しかし、本棚の本に然り、物は増えたり変化し続けます。
例えば弊社の本棚は、毎年年末に本を減らし、本を入れ直す作業をしています。
この様に、本棚などハードがあればそれで良いという訳ではなく、暮らし方にも工夫が必要です。
「我が家の行事」みたいに暮らしのイベント事をつくり、毎年行うのも良いかも知れません。
(収納とは関係ありませんが)我が家はゴールデンウィーク中に、ウッドデッキの掃除をするのが恒例行事になっています。
ハードとソフトで、収納の機能を持続させ、17.2%以内に入る住まいの実現を図りたいところですが、それにはやはり、新築する際に、暮らし方や収納物を把握しておく事や増えて行く物など、出来る限り想定しておき、それに対応できる準備をしておく事が重要になります。
話を戻すと「想支の家」は、ギャラリーライクな暮らしの実現の為、今までの暮らしの中でリビングにある物を全て書き出し、それらが納まることが出来る壁面収納を検討されました。
左右で、扉の割りが違うのは(アシンメトリーなのは)、入れる物が決まっており、それによって扉の大きさなどが決まっている為です。
因みに扉を開けると可動棚の奥行きも違います。
「備えあれば患いなし」
むしろそんな考え方を持って住まいと言うハードを計画する方は、暮らしと言うソフト面も対応されているとも感じます。
ですので、17.2%以内に入る住まいを先ず意識していただく事が、重要だと感じます。